弊社が取り扱う仮想環境のモニタリングツールVeeam ONEのReporterを使った、ユーザのキャパシティプランニングを助けるレポートを紹介するシリーズ第三回目です。
第三回までの記事では、サービスに影響を及ぼすホスト停止時の状態のシミュレーション、データストアスペース枯渇までの日数の分析・予測、追加可能な仮想マシン台数の分析・予測、この3点の機能を紹介してきました。
第四回では、リソース枯渇までの日数を算出することでより直接的にキャパシティプランニングに影響を与えられるCapacity Planningレポートを紹介します。
- ホスト停止をシミュレートして必要リソースを計算するHost Failure Modellingレポート
- データストアの容量増加を予測するOver-provisioned Datastoresレポート
- 追加できる仮想マシン数を予測するHow Many More VMs Can be Provisionedレポート
- リソース枯渇までの日数を予測するCapacity Planningレポート
順調に仮想環境を運用し、VM台数を増やしていくと、いずれリソースは枯渇します。これは当然のことですが、いつどのリソースがボトルネックとなって枯渇するのか、今すぐに把握できる、という方は少ないのではないでしょうか。
問題なく運用している状態では見過ごされがちですが、予算に限りがある中で、いつハードウェアを追加するかある程度予測をつけておかなければ、リソースが枯渇したときに対応が取れなくなる危険性があります。
Capacity Planningレポートは、リソース使用率のレベルが指定したしきい値に到達するまでの日数を予測することで、効率的なハードウェアの追加を実現します。
このレポートでは、CPU、メモリ、データストアの空きスペース、読み込み・書き込み速度といったリソースの使用率を分析することにより、残り日数と枯渇するハードウェアを指摘します。
キャパシティプランニングの計算にあたって、使用するデータを営業時間中に限って設定することが可能です。
これにより、深夜のバッチ処理やバックアップによる計画的な既知のリソース消費を計算に入れてリソース使用率を過大に見積もってしまったレポートが作成されるのを防げます。
出力されるレポートのSummary欄では、現在の仮想環境構成と、リソースの空き具合から算出された可用性が保障される日数、不足することが予測される場合の必要なリソース量の情報が記載されます。
また、他のクラスタやホストと比較してCPUやメモリなどのリソースをより早く消費するクラスタとホストの上位5つが表に示されています。
この概要から、仮想環境を俯瞰的に観察して、全体で必要とされるリソースを素早く把握し、リソース割り当てが必要なホストや、仮想マシンの移行が必要なホストを判断できます。
Details欄では、各クラスタ・ホストごとに、物理リソースの量や、現在のリソース使用状況と平均のリソース使用状況、そして使用傾向から導き出された残り日数が出力されます。
これにより各ホストごとのリソース使用状況を把握できます。
その下には、RecommedationsとPerformance Trendsという項目が用意されています。
Recommendationsでは、分析結果を踏まえ、次の6か月の間に、リソース使用率をしきい値以下に維持するための必要なリソース量を表示します。
たとえばメモリの追加や、データストアの増強などの推奨事項を、具体的な数値を含めて記載するので、すぐに具体的なハードウェア購入計画を立てることが可能です。
Performance Trendsでは、メモリ使用率・CPU使用率・読み込み速度・書き込み速度・データストア使用量の推移がグラフで、指定した期間中の統計が表で表示されます。
メモリやCPU、読み書き速度に関しては、最小・最大・平均といった数値と、標準偏差と残り日数が表示されています。
標準偏差(Std.Deviation)の数値が大きいと、リソース使用率の変動が大きいことを意味しています。
これは、普段は低レベルだが一定期間大規模なリソース消費の発生がある可能性を示しているので、突発的なリソース枯渇や無関係のVMへの圧迫が発生する可能性があります。
こういった場合には、必要に応じて仮想マシンの配置を見直す、リソースの優先設定を見直すなど対応をとる必要があります。
このように恒常的にリソースが高い仮想マシンだけでなく、リソース消費が一時的に高い仮想マシンがある場合にも対応しているため、仮想マシンの割り当て計画も行いやすくなります。
データストアに関する事項として、読み込みおよび書き込みの速度それぞれと、データストアの現在の総容量や使用容量、空き容量、プロビジョニング容量と、使用率の推移から求められた残り容量が表示されています。
単純にデータストアの空き容量を見るだけでなく、読み込み・書き込み速度も計算に入れることにより、仮想マシンの応答性能の維持を助けます。
これにより、これまでのデータストアのディスク性能から適切な台数の判断や、これから購入するディスクの読み書きの性能をどの程度要求するかといったことも判断しやすくなります。
このようにVeeam ONEにはキャパシティプランニングに役立つレポートが用意されています。
これらのレポートを活用していただければ快適な仮想環境を維持し円滑な運用が可能となります。
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