Zertoが提供する柔軟なフェイルオーバーオプション


Zertoはユーザが柔軟に仮想マシンを復旧できるよう、フェイルオーバーの際に以下のような各種オプションを提供しています。今回はこのフェイルオーバーに関するオプションをご紹介いたします。

  • テスト・フェイルオーバー(TEST FAILOVER)
  • ライブ・フェイルオーバー(LIVE FAILOVER)
    • コミット(Commit)
      • 逆レプリケーション(Reverse Protection)
    • 切り戻し(Roll Back)
  • 移行(MOVE)
  • クローン(Offsite Clone)

・テスト・フェイルオーバー(TEST FAILOVER)


まず、テスト・フェイルオーバーについてです。このフェイルオーバーはレプリケーションされたチェックポイントのVMが正しく動作するか確認するためのオプションです。以下のようにZertoのWeb UI右下にあるスイッチがTESTになっているとテスト・フェイルオーバー実施できます。


このとき保護サイトでレプリケーションされた仮想マシンは事前に設定されたVPGの内容に基づき、指定されたチェックポイントで起動します。VPGでの事前設定ではVMの起動順番やフェイルオーバー時に仮想マシンが接続するネットワークを行います。ネットワークは実際のフェイルオーバーで接続するネットワークとは別にテスト・フェイルオーバーで接続するネットワークを設定できますので、隔離ネットワークで安全にテストを行うことが可能です。


また、フェイルオーバー中もバックグラウンドでレプリケーションは継続していますので、このテストのたびにレプリケーションが中断されるということはなく、SLAを維持することが可能です。

保護サイトでのテスト完了後にはこのフェイルオーバーをSTOPから停止します。この際にフェイルオーバーで起動していた間の複製VMへの変更は破棄され、テスト・フェイルオーバーで用いたチェックポイントにその結果をタグ付けすることができます。これで確実に復旧できるチェックポイントを確保することができます。


・ライブ・フェイルオーバー(LIVE FAILOVER)


障害発生時、実際に復旧を行うために実施するフェイルオーバーです。スイッチをLIVEに変更しFAILOVERから実施可能です。ライブ・フェイルオーバーもテスト・フェイルオーバーと同様にVPGの事前設定に基づき行われます。このときに接続するネットワークは本番用の設定です。また、保護サイトにあるソースVMへの操作もオプションで設定でき、デフォルトでは何も実施されませんが、フェイルオーバーで複製VMを起動する前にソースVMを停止するといった操作を行わせることも可能です。


また、ライブ・フェイルオーバー時には以下のようなオプションを設定可能です。

  • コミットポリシー(Commit Policy):フェイルオーバー後に指定時間、経過した際に自動で実施する操作を指定できます。
    • 自動コミット(Auto-Commit):指定時間経過後に複製VMを運用VMとしてコミットします。コミットされた複製VMはZertoによる管理から独立し、そのジャーナルは削除されます。
    • 切り戻し(Roll Back):指定時間経過後にフェイルオーバー前の状態に切り戻します。フェイルオーバー中の複製VMへの変更は破棄され、通常のレプリケーションが再開されます。
    • なし(None):フェイルオーバー後に自動では操作を行わずに、フェイルオーバー状態を維持します。
  • ソースVMのシャットダウン(VM Shutdown):デフォルトでは何も実施されませんが、フェイルオーバーで複製VMを起動する前にソースVMをVMware Toolsからシャットダウンするか強制停止するように設定することができます。
  • 逆レプリケーション(Reverse Protection):コミット後に逆向き(保護サイトと復旧サイトを逆に設定した)レプリケーションを自動的に構成するオプションです。コミットポリシーが自動コミットの場合のみ、ここで設定可能です。


当然、コミットポリシーでの時間経過前に手動でコミットの実施や逆レプリケーションの設定、フェイルオーバー前に切り戻しを行うこともできます。

・移行(MOVE)


自動的に保護サイトのソースVMをシャットダウンし、仮想ディスクに変更が発生しない状態となったチェックポイントでフェイルオーバーを行うオプションです。そのため、この際にチェックポイントの選択はなく、ソースVMのシャットダウンオプションは強制的に有効になっています。これにより、仮想マシンの移行にZertoを用いた場合にも簡単、確実に最新の状態を保証できます。


・クローン(Offsite Clone)


既にレプリケーションされているデータからチェックポイントを指定し、そのチェックポイントの状態のクローンVMを作成します。これにより単なるデータ保護だけでなくレプリケーションしたデータを活用し、復旧サイトで様々なテストや開発用VMを簡単に作成することができます。

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