最新版Zerto Virtual Replicationの5.5では、以下のような新機能が追加されました。この5.5でメインとなるAzureからのフェイルバックとAWSへのフェイルオーバー高速化を早速試してみました。
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Azure
- Azureからのフェイルバック(レプリケーション)
- NICとコア数の検証:フェイルオーバー時のVMサイズ検証機能
- Azureタグ:Zertoから作成されたリソースへのタグ追加
- Azureからのフェイルバック(レプリケーション)
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AWS
- フェイルオーバー時のインポート速度改善
- 新しいAWSリージョンへの対応
- フェイルオーバー時のインポート速度改善
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Hyper-V
- パフォーマンス改善とエラーメッセージの明確化
- パフォーマンス改善とエラーメッセージの明確化
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VMware vSphere
- 保護VMがスナップショットから復旧した際の警告表示
- 保護VMがスナップショットから復旧した際の警告表示
など
Azureからのフェイルバック
一応ですが正確にはAzureからVMwareやHyper-Vへのレプリケーションを構成できるようになりました。
なぜ一応かというとその際の制限として、ZVMインストール時に指定したAzureのスタンダード ストレージアカウント上にあるVMのみレプリケーション対象とできるためです。
そのため、複数ストレージアカウントがある場合や既にZVMをインストールしており、その際に専用のストレージアカウントを作成しているような場合にはレプリケーションの対象とできません。このため、基本的な用途としてはZertoでAzureにレプリケーションしているVMをAzureからのレプリケーションの対象とできるストレージアカウントにフェイルオーバーし、これにより、フェイルバック(リバースプロテクション)を構成するという用途になります。
弊社内での検証ではVMware環境のLinuxをAzureにフェイルオーバーし、それのコミット時にリバースプロテクションを構成、Azure to VMwareのレプリケーションを構成、問題なく動作することを確認しました。
また、リバースプロテクション構成でなくとも、同一のストレージアカウント上に作成したVMであれば、問題なくVPGを作成でき、VMware環境へレプリケーションを構成できました。
AWSへのフェイルオーバー速度改善
AWSのインスタンスとしてVMをフェイルオーバーする際には、現状、S3から従来方式のAWS APIを用いてインポート処理を行っています。このインポート処理に時間がかかるためAWSへレプリケーションでのRTOは数時間程度かかります。このインポート処理が5.5では大幅に改善されます。zImporterというLinux AMIを用いてインポート処理を行うことが可能になり、これにより6倍程度までインポート速度が高速化されます。ただ、現状Windowsの場合には運用VMに別途ドライバを手動インストールする必要あるといった点やLinuxの場合には対応OSが限られている点など制限がある程度ございます。そのためAWS APIを使用するインポートも利用できるようになっており、この際に使用するAPIも新し方式のものを使用しておりますので5.0に比べてAWS APIでのインポートも多少早くなっております。
プロビジョニング24.1 GB 使用済み18.1 GBのLinux VMをフェイルオーバーするのにかかった時間
従来AWS API:28分7秒
ZImporter方式:9分51秒
開発元で展開されていた情報としてはシステムディスク50GB、データディスク256GBのVMをフェイルオーバーする際に3時間程度かかっていたものが30分まで短くなったとのことですので、複数ディスクあり、ある程度サイズが大きいディスクの方がより高速化の効果があるようです。
その他機能改善
・VMwareスナップショットから復元したVMの警告表示
Zertoの保護下にあるVMが古いスナップショットにより復元される度に警告をトリガーし、VPGを強制的に同期させ保護を継続します。
・対応プラットホームの強化
vSphere 6.5 / ESXi 6.5 Update 1 / SCVMM 2016 / Hyper-V 2016 に対応しました。
・Hyper-Vのパフォーマンスやエラー処理の改善
機能改善を行いパフォーマンスやエラー処理を改善、その結果、明確なメッセージが出力されるようになりました。
・Azureタグの追加
Zertoから作成されたリソースへのユニークなタグを追加しました。
・新しいAWSリージョンへの対応
AWS Gov Cloud (US) Regionのサポートを開始しました。
・使用するデータベースの変更
クリーンインストールで使用する組み込みデータベースが、SQL Server Express LocalDBに変更されました。
・APIサポート強化
ZVM・ZCMなどのAPIを強化し、VPGの作成やリソースの追加や取得などを柔軟に行えるようになりました。
・Zerto Mobileの強化
タブレットビューのサポート拡張やウィジェットが利用可能になり、IOS・Android等のモバイル環境でより使いやすくなりました
・新しいZertoアナリティクスの提供
環境やステータスに関する情報に、より詳細にアクセスできるようになりました。
・インフラ部分の機能改善
チェックポイントの管理改善や、スナップショット復元時にZVM上のイベントが登録される機能が追加されました。
・自動アップグレード機能の提供
VRAのアップグレードが自動的に実行され、ZVMとVRAの両方のスムーズなアップグレードが可能になります
※デフォルトで有効になります。
・セキュリティの強化
ZVMとZCCの通信に新しい方式を採用し、クラウドサービスプロパイダとの通信のセキュリティを強化しました。
To the Cloud & Back! :本当のクラウド対応をZertoが提供 -VMリアルタイムレプリケーション最新機能全貌-(録画)
まとめ
クラウドへのレプリケーションや移行を行えるソフトはいくつかありますが、クラウドからオンプレに戻ってこれるソフトはなかなか、ないかと思います。今回のようにZerto 5.5では、いち早くAzureからのオンプレへのフェイルバックに対応しました。またAWSへのレプリケーションで課題となっていたフェイルオーバー速度も大幅に改善されました。ただこれらの新機能部分に関しては、現状、制限等が多くございます。そのため、ご興味がある方は是非一度弊社までお問合せください。
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