CloudBerry Backupでは以下のように除去オプションを設定することでバックアップのバージョン(世代)や保持期間を指定できます。今回はこの除去オプションについて解説します。
まず、CloudBerry Backupは下記のように、大きく分けて2つのポリシーを設定でき、両方を指定することも可能です。
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特定期間のバージョン(世代)を保持するポリシー
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特定個数のバージョン(世代)を保持するポリシー
- 特定期間のバージョン(世代)を保持するポリシー
このポリシーは指定した期間の全てのバージョン(世代)を保持します。このときに注意が必要となる点がバージョン(世代)の日時をmodification dateとbackup dateのいずれで判別させるかです。
CloudBerry Backupはバックアップ対象としてファイルの更新日時を参照し、前回のバックアップから更新されているファイルのみをバックアップします。また、ファイルごとにバージョン(世代)管理されます。そのため、クラウド上で保持されるファイルのバージョン(世代)には、この更新日時(CloudBerryのコンソール上では変更日時)で管理され、ローカル上で変更がないファイルについてはバックアップが実行されてもバージョン(世代)が増えることはありません。
modification dateはバージョン(世代)の、この更新日時を参照し、バックアップされた日時とは関係なく、指定した期間よりも古い更新日時のバージョン(世代)を削除します。このとき、「常に以前のバージョンを保持します。」のオプションに注意が必要です。このオプションが無効の場合、ポリシーで指定した期間、更新のないファイルはバックアップ自体が行われません(既にバックアップされており、ローカルにファイルが存在する場合にも指定した期間、更新がなければクラウド上からは削除されます)。
「常に以前のバージョンを保持します。」のオプションを有効にすると、最も新しい更新日時のバージョン(世代)は削除されません。これにより、指定した期間、更新のないファイルもバックアップが行われ、少なくとも最新バージョンはクラウド上で保持されます。
これに対してbackup dateではバックアップされた日時を参照します。ただ、CloudBerryでは前回のバックアップから更新日時が変わっていない(変更がない)ファイルをバックアップしません。そのため、更新のないファイルは、modification dateで指定した場合と同様に、そのままでは削除されてしまいます。これを回避するためにbackup dateを指定すると自動的に「常に以前のバージョンを保持します。」のオプションが有効になり、これを変更することはできません。
- 特定個数のバージョン(世代)を保持するポリシー
このポリシーは単純に指定したバージョン数を保持するポリシーです。そのため3を指定すれば更新日時の新しい3バージョンが保持されます。
- 「消去を遅延します。」オプションについて
上記のポリシーによって、削除対象となったバージョンを実際に削除するタイミングをずらすためのオプションです。CloudBerryはバックアップの処理が完了後、終了処理の一部としてポリシーに該当するファイルを削除します。このオプションを有効にし、例えば3日に設定すると、ポリシー上は削除扱いのファイルバージョンはバックアップが実施されても、遅延期間である3日間は削除されず、3日後に実行されたバックアップで削除されます。
- 「ローカルで削除されたファイルを削除する」オプションについて
上記のポリシーでは、ローカルでは削除されているファイルが、クラウド上には削除されずバックアップとして残ることがあります。しかし、ローカルから削除されたファイルを容量節約のためなどでクラウド上からも削除したいというケースもあると存じます。このような場合に、使用するオプションであり、このオプションを有効にすると、ローカルから削除されているファイルは、指定した日数経過後のバックアップタイミングで、クラウド上から全てのバージョンが削除されます。
- 組み合わせた場合の例
前述の通り、これらのオプションは組み合わせて使用できます。例えば毎時で更新されるようなファイルと週次でしか更新されないようなファイルをこの計画で、4時間置きにバックアップしたとします。
このとき、毎時で更新されるファイルは毎回バックアップされ、そのたびに新しいバージョンがクラウド上に保持されます。しかし、バージョン数が3になると「バージョン数の保持」設定により、一番古いバージョンは削除されます。
これに対して週次で更新されるファイルは、1週間に一度しかバックアップもされません。しかし、4時間おきのバックアップ時に削除対象であるかチェックが行われます。3日前の更新日時のバージョンは削除対象となります。それでも「常に以前のバージョンを保持します。」のオプションにより最新の1バージョンは保持されます。そして次の週にファイルが更新され、それがバックアップ、新しいバージョンが作成されると古いバージョンは、「より古いバージョンを消去します。」のオプションにより削除されます。
また、週次で更新されるファイルをローカルから削除したとします。この場合、「ローカルで削除されたファイルを削除する」により即座に次のバックアップで削除されるわけではなく、次のバックアップでは、削除されたチェックが行われ、その7日後に実施されたバックアップにより、クラウド上から削除されます。
このように、CloudBerry Backupの世代管理は少々、わかりにくいですが使いこなすことで柔軟にファイルバージョンを管理できるポリシーとなっています。
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