ZertoはAzure環境にも対応しており、vSphere>Azureなどの異種プラットフォーム間でのレプリケーションが可能であり、Zerto v10でAzure環境におけるアーキテクチャが大幅に変更されました。
従来のアーキテクチャでは、Azure上のWindows仮想マシンにZertoをインストールすると、Zerto Cloud Appliance(ZCA)としてZerto Virtual Manager(ZVM)以外にも実データ処理を行うVirtual Replication Appliance(VRA)がWindowsのサービスとしてインストールされる仕様であり、スケールアップで対応するとしても1台あたり100VMの制限がありました。これではスケーリングが難しく、必要に応じてZCAであるWindows仮想マシン自体を増やさなければなりません。
これを解消するために、Zerto v10からはvSphere環境でのアーキテクチャと同様に一つのWindows仮想マシンをZVA(ZCA)から、Linux仮想マシンのVRAを別途デプロイしスケールアウトに構成できるようになりました。
ただ、このようなアーキテクチャの大幅な変更により、Azure用のZerto 9.7は正式リリースされず、スキップされることになりました(vSphereとAWS用のZertoは9.5>9.7>10とリリースされています)。
この際に問題になる点がアップグレードです。Zertoでは1つのメジャーバージョンずつアップグレードする必要があるため、Azure環境でも9.5>9.7>10と段階を踏んでアップグレードが必要になります。
これに対応するためにv10へのアップグレード ステップとしてのみ使用することを目的とした、移行バージョンとして9. 7U3がリリースされています。あくまでも移行バージョンであるため、継続しての運用目的での利用は制限されており、予期しない理由で使用し続ける必要がある場合には、開発元サポートへの確認が必要となります。
この移行バージョンを使用するためには、以下のような手順で事前に他の環境を9.7u3にアップグレードしておき、Azure用のZertoは9.5>9.7>10と連続でアップグレードする必要があります。
- ペアリングされた他のZVMサイトがZerto 9.7U3またはU4までアップグレードされていることを確認します。
- VRAをZVMからAzure環境にデプロイできるよう、Azure Cloud ShellからVRAイメージの使用条件に同意します。
- Azrure環境のZertoを移行バージョンである9. 7U3にアップグレードします。
- 9.7U3にアップグレードされた時点で、Standard F4s v2のDebian 11仮想マシンであるVRAがAzure環境にデプロイされます。
- Azrure環境のZertoを正式リリースである10.0U1にアップグレードします。
- ペアリングされた他のZVMサイトも10.0U1にアップグレードします。
詳細は下記で解説していますので併せてご参照ください。
また、Zerto 10.0ではAzure用のLinux版ZVM(ZCA)もリリースされておりますが、現状Windows ZVMからは移行できず、新規での利用のみとなりますのでご注意ください。
※移行ツールがリリースされているものはvSphere用のZertoのみです。vSphere環境のZVMをWindowsからLinuxへ移行する手順に関してはこちらをご確認ください。
ご不明点等ございましたら、弊社サポートまでお問い合わせください。
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