この記事ではver.9.5で追加されたVeeam機能について紹介しております。Veeamの基本機能等については、こちらをご参照ください。
Azureへの直接リストア
Veeam製品でバックアップしたデータをAzure VMとしてリストアすることが可能になります。Veeam Backup & Replicationの管理画面から一元的に、ダイレクトにAzureへのリストアを実施でき、オンサイト上の負荷をクラウドに移行することや、Azureベースのテスト環境で検証する用途としても活用できます。またWindowsだけではなくLinuxにも対応しており、Azure環境にゲートウェイサーバを配置することによる効率的なリストア処理や、Veeam Agent製品で取得した物理マシンのバックアップデータからのリストアも実現可能です。
ストレージスナップショット連携ストレージ統合の追加
v9.0までのDell EMC、HPE、NetAppのストレージに加え、v9.5からはNimble、Cisco、IBMのストレージスナップショットと連携した効率的なバックアップ、レプリケーションも可能になります。VMwareのスナップショットは整合性を保つのみに利用され、ストレージスナップショット内で静止点は保持されます。これにより、VMwareスナップショットの肥大化を防ぎ、仮想環境への影響をほぼ0にしたデータ保護が可能になります。
対応ストレージ一覧:
- * Dell EMC VNX, VNX2, VNXe and Unity
- * NetApp FAS, FlexArray (V-Series), Edge VSA and IBM N Series (NetApp FAS OEM)
- * HPE 3PAR StoreServ
- * HPE StoreVirtual (LeftHand / P4000 series) and StoreVirtual VSA
- * HPE Nimble Storage AF-Series and CS-Series(9.5以降)
- * Cisco HyperFlex(9.5 Update 2以降)
- * IBM Spectrum Virtualize(9.5 Update3以降)
さらに、ストレージスナップショットからのリストアも可能です。Veeam Explorer for Storage Snapshot機能を活用することでストレージスナップショット内のVMのリストアはもちろんのこと、ゲストのファイル/フォルダ、各種アプリケーションアイテムを個別にリストア可能です。これにより、ストレージスナップショットで実現した短いRPOのスナップショットから、短いRTOでのリストアを実現します。
・2次ストレージへのバックアップ – HPE Nimble, IBM
Veeamから作成した確実なアプリケーションの整合性を保持した状態のストレージスナップショットを2次ストレージへ連携が可能です。さらにこの連携先の2次ストレージのストレージスナップショットからもバックアップを行えます。プライマリのストレージへの読み取り負荷すらなくした、インフラ外へのバックアップが可能です。
・ストレージスナップショットからの安全な検証
VeeamではVirtual Lab機能により、ストレージスナップショットから直接VMを起動し、隔離した環境でのオンデマンドなサンドボックスを提供しています。これにより、本番環境と同様のI/Oでのテストが可能になり、高速な検証、トラブルシュート、トレーニングといったことが可能になります。
Microsoft 2016完全対応
・Windows Server 2016サポート
v9.5ではWindows Server 2016に完全対応しており、Windows Server 2016のゲストVMの保護や、Veeamコンポーネントのインストールが可能です。またHyper-V 2016においては、PowerShellにより直接ゲストVMから処理を実施することが可能となります。これにより、ネットワークを介することなく、アプリケーションの整合性処理やファイルインデックスの作成、ファイルレベルリストアを実施できます。
・Hyper-V 2016サポート
今までは、Hyper-Vには変更点追跡機能(以下CBT)がなかったため、Veeamでは独自にHyper-V用のCBTを搭載し、Hyper-V上での増分・差分バックアップを行っていました。Hyper-V 2016では組み込みの変更ブロック追跡機能であるResilient Change Tracking(RCT)が搭載され、Veeamでもこれを活用することで、追加のフィルタドライバを介することなくバックアップが可能です。また、Nano Server上のHyper-VホストゲストVMの保護も完全にサポートしており、データセンターのフットプリント削減のための、記憶域スペースダイレクト(Storage Spaces Direct)にも対応しております。
vCloud Director統合の強化
Veeam Backup Enterprise ManagerのWeb UIに、vCloud Directorの認証情報でアクセスすることが可能になり、サービスプロバイダーによる新規ユーザ作成や、パスワード発行等の手間を削減できます。またユーザにはvCloud Directorの認証情報で、プロバイダにより事前定義されたポリシーのバックアップや、制限された範囲でリストアを委託させることができ、セキュアなマルチテナント運用を可能にします。
ReFSとの統合
v9.5ではWindows Server 2016のReFSボリュームにデータを保存する際、ReFS APIと統合し、既存ブロックを参照した高速なクローンによる合成フルバックアップ作成が可能になります。これにより、実際のI/O操作を必要とせずメタデータの更新のみで合成フルバックアップ等の処理を実行でき、大幅なパフォーマンス向上や保存先データ容量の削減を実現します。またReFSのデータ整合性スキャナを活用することで、バックアップデータの安全性をより向上させます。
・エンタープライズ向けの改善
- リストア処理の改善
バックアップ時だけではなく、VM全体のリストア時にも仮想ディスクを並列に処理することが可能となり、これによりリストア時の速度が向上されます。またテープから直接VM全体のリストアが行えるようになります。こちらも処理速度向上に加え、テープ用にリポジトリ領域を用意する必要もありません。さらにインスタントVMリカバリエンジンも改善され、特に複数VMを同時に実施する場合のパフォーマンスが強化されています。 - プロキシ構成ルール追加
今までは、実際にデータを処理するプロキシはジョブごとに紐づきの設定が可能でした。v9.5からはデータ保存先であるリポジトリごとの紐づきも可能となり、より効率的な負荷分散を実現します。 - ブローカーサービス機能
仮想環境の階層データをブローカサービス機能によって取得させ、リアルタイムでRAMにキャッシュすることが可能となります。ジョブ実施時のVMリストを取得の際は、仮想環境からではなくキャッシュされたデータから取得を行うことで、大規模な仮想環境でも低負荷で高速な処理を可能にします。
関連トピックス
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