Veeam Backup & Replicationは小規模から大規模環境、リモートブランチオフィスのバックアップなどに対応するために分散アーキテクチャを採用しています。ただし、Veeamをインストールしたサーバ自体が複数のコンポーネントの役割をすでに担当している状態でインストールされるため、スモールスタートであれば仮想環境を登録するだけで簡単にバックアップやレプリケーションを実施可能です。
ただし、Veeam Backup & Replicationのみをインストールした構成ですと、大規模環境で十分な速度が出ないことや、応用的な機能を使用できません。そのため、各種コンポーネントをうまく活用して構成していただくことでより効率的なデータ保護を実現できます。
今回は、まずどのようなコンポーネントが存在するかをご紹介させていただきます。
主要なコンポーネント
・Veeamバックアップサーバ
Veeamをインストールしたサーバであり、このサーバがジョブの管理やスケジューリング、ロードバランシングなどを実施し、バックアップ、レプリケーション環境の調整を行います。
・バックアッププロキシ
このコンポーネントは複数構成でき、VMのスナップショットからデータを読み取り、重複排除、圧縮を行い、保存先(バックアップリポジトリ)に送信します。レプリケーションの場合にはターゲットで重複排除、圧縮されたVMのデータを受信し、そのデータを展開、複製VMに書き込むというソース、ターゲット間でのデータを転送を行うためのデータムーバーの役割も担当します。
・バックアップリポジトリ
各種リストアで使用する、バックアップイメージとバックアップ、レプリケーション時に使用されるメタデータを保存します。リポジトリにはWindows、Linuxサーバ、またはCIFSのNASデバイスを使用できます。
オプションのコンポーネント
Veeamをインストールしたサーバはデフォルトでこれらの役割を担当しており、そのため簡単にデータ保護を開始できます。規模に応じてまたバックアッププロキシとリポジトリを増やすことで負荷分散し大規模環境にも対応できます。これらに加えて以下のような任意で構成するコンポーネントを追加することも可能です。
・WANアクセラレータ
このコンポーネントはグローバルなデータ重複排除方式でネットワークを介して転送されるデータ量を削減できます。これにより2次バックアップ(バックアップコピー)やレプリケーションで低帯域なWANを介したデータ転送を行う場合にも転送量を減らし災害対策を実現可能です。
・ゲスト静止用プロキシ
このコンポーネントはゲストOSの静処理やゲストOS上でのファイルインデックス作成を行います。通常この処理はVeeamバックアップサーバが担当しており、そこまで負荷やデータ転送が大きい処理ではありません。ただVM数が多い場合や不安定なWANを介した環境では、この処理でVeeamバックアップサーバの負荷が大きくなることや、処理に失敗することがあります。そのため、このコンポーネントを配置することで安定した処理が実現できます。
・マウントサーバ
このコンポーネントはWindwosゲストOSのファイルリストア時にバックアップデータをマウントします。リモートにあるバックアップデータをリモートの仮想マシンにリストアする際に、このマウントサーバをリモートに配置することで、リストア対象ファイルのデータの流れをリモートサイト内で完了できます。
・Veeam Backup Enterprise Manager
このコンポーネントは複数のVeeamバックアップサーバをWeb UIから管理できます。複数のサイトやVeeamバックアップサーバを配置している場合にこれを使用します。また、バックアップ内にあるゲストOSファイルの検索やリストア、アイテムのリストアなども実施可能です。
・Veeamバックアップ サーチサーバ
このコンポーネントはバックアップ内のゲストOSのファイルを検索する処理を高速化するために使用できます。これにより、大規模環境でも高速に検索を行い、リストアしたいゲストOSファイルを素早く見つけることが可能です。
このようにVeeamでは様々な環境に対応できるよう各種コンポーネントをそろえており、どのコンポーネントも環境に応じて簡単にデプロイ可能です。
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