IOPS(Input/Output Operations Per Second):ストレージのパフォーマンス指標


ストレージのパフォーマンスを理解する上で、IOPS(Input/Output Operations Per Second)がしばしば脚光を浴びます。 ホームラボの最適化、高性能データベースの実行、あるいはエンタープライズレベルのストレージソリューションの設計など、IOPSは繰り返し遭遇する測定基準です。 しかし、IOPSが実際に何を意味し、なぜ重要であり、どのように最大限に活用できるのでしょうか? それでは、詳しく見ていきましょう。

IOPSの意味

IOPS(Input/Output Operations Per Second)とは、ストレージシステムが1秒間に実行できる読み取りおよび書き込み操作の回数を表す測定値です。これは、ストレージのパフォーマンスを評価する際に最も一般的に使用されるベンチマークの1つです。

コンピューティングにおいて、入力とはシステムに送信されるあらゆる情報であり、データの取得を伴う読み取り操作などがこれに該当します。出力とは、入力の処理結果であり、データの保存を伴う書き込み操作などがこれに該当します。これらの入出力が効率的に処理されるほど、システムのIOPSは高くなります。

IOPSの数値は、ストレージの種類(HDD、SSD、NVMe、RAM)やワークロードによって大きく異なります。例えば、SSDは数千のIOPSを処理できるのに対し、従来のHDDは通常数百のIOPSを処理するのが一般的です。しかし、生のIOPS数値は全体像の一部に過ぎず、データ転送のサイズやレイテンシも全体的なパフォーマンスに重要な役割を果たします。

IOPSが重要な理由とは?

IOPSは単なる数値ではなく、ストレージシステムがデータ要求を処理する能力の指標です。 シーケンシャルとランダムという異なるデータ書き込み・読み取り方法が含まれます。 シーケンシャル操作は、順序付けされたデータアクセスを伴い、大量のブロックでデータが書き込まれたり読み取られたりするメディアストリーミングのようなタスクに最適です。 一方、ランダム操作は、断片化されたデータ検索を伴い、データベースや仮想化に不可欠です。

高い IOPS レートは、以下のことを保証します。

  • 高速なアプリケーションのレスポンス:アプリケーションは、効率的に動作するために素早いデータアクセスを必要とします。高い IOPS レートは、データ転送が迅速に行われることを保証し、待ち時間を短縮し、ユーザー体験を向上させます。
  • 拡張性の向上:データの増加に伴い、ストレージシステムへの要求も増加します。高い IOPS レートは、複数のアプリケーションが遅延なく同時にデータにアクセスすることを可能にし、パフォーマンスの低下を招くことなくビジネスの成長をサポートします。
  • 仮想化の効率性:複数の仮想マシンが同じストレージを共有する仮想環境では、高い持続的な IOPS が非常に重要となります。 IOPS が高ければ、VM が互いに干渉することなくスムーズに作業負荷を実行できることを意味します。

IOPS の計算方法

IOPSのベンチマークの概念は、技術の進歩とともに進化してきました。FIO、DiskSpd、ベンダー固有のユーティリティなどのツールにより、シーケンシャルIOPSとランダムIOPS、レイテンシ、スループットに関する詳細な洞察が提供されています。IOPSの計算は、入出力操作の総数を実行に要した時間で割ることで行います。

IOPS = 入出力操作の総数 ÷ 時間(秒)

例えば、ストレージデバイスが2秒間で500回の読み取り/書き込み処理を実行した場合、IOPSは250となります。

IOPS vs スループット vs レイテンシ

IOPS、スループット、レイテンシは相互に関連する指標であり、これらを総合的に考慮することでストレージのパフォーマンスを定義することができます。

  • IOPS:1秒あたりの読み取り/書き込み処理の回数を測定します。頻繁に少量のデータ転送を伴う作業負荷に不可欠です。
  • スループット:処理されるデータ量に焦点を当て、MB/秒またはGB/秒で測定されます。動画ストリーミングなどのデータ集約型アプリケーションにとって重要です。
  • レイテンシ:単一のI/Oリクエストを完了するのにかかる時間を示し、ミリ秒単位で測定されます。ユーザーエクスペリエンスに直接影響します。

IOPSは多数の小規模なランダム操作を伴うシステムの評価に最適ですが、スループットは大規模なシーケンシャルデータ処理に適しています。レイテンシは個々の操作の速度に影響を与えることで、両者を結びつける役割を果たします。

IOPS HDD vs. SSD vs. NVMe

ストレージデバイスの種類(HDD、SSD、NVMe)、RAID構成、ワークロードの特性などの要因は、結果に大きな影響を与えます。例えば、RAID 0などのRAIDレベルはパフォーマンスを向上させますが、RAID 6ではパリティ計算によるオーバーヘッドが発生します。

HDD、SSD、NVMeドライブは、その基盤技術とインターフェースにより、IOPSの処理方法が大きく異なります。

  • HDD:回転するプラッターと機械式アームを使用しているため、速度に本質的な制限があります。通常、100~200 IOPSを処理でき、アーカイブストレージやシーケンシャルI/Oワークロードに適しています。機械部品があるため、アクセスレイテンシが高くなります。
  • SSD:フラッシュメモリ技術を使用しており、可動部品がありません。レイテンシが低く耐久性も高いため、数万~数十万 IOPSを処理できます。SATAまたはSASインターフェースを使用しますが、一部のアプリケーションでは依然としてボトルネックとなる可能性があります。
  • NVMe SSD:従来のボトルネックを回避し、高速データ転送を実現するPCIeインターフェースを利用します。超低レイテンシで数十万のIOPSを実現します。NVMeは、要求の厳しい企業環境における仮想化、データベース、分析に最適です。

プロトコルも重要な役割を果たします。リモートブロックストレージでは、NVMe-oF(NVMe over Fabrics)のようなプロトコルが最小限のレイテンシで高速データアクセスを可能にし、分散型セットアップに大きな利点をもたらします。

IOPS(Input/Output Operations Per Second)の指標を改善する方法について

IOPSの指標を改善することは、それほど複雑なことではありません。ストレージシステムをより高速かつ効率的にするための実用的なステップをいくつかご紹介します。

  1. より高速なストレージにアップグレードする:まだHDDを使用している場合は、SSDまたはNVMeドライブへの切り替えを検討してください。中程度の読み取り専用のSSDでも、回転ディスクよりも劇的に高いIOPSと低いレイテンシを実現します。
  2. ドライブをアレイに結合する:同様のモデルのドライブを追加し、RAIDで構成します。例えば、パフォーマンスと冗長性の両方を向上させるには、RAID 10が最適なオプションです。RAID 5とRAID 6もSSDストレージと相性が良いです。
  3. ワークロードを最適化する:データを整理し、不要な I/O 操作を削減します。例えば、パーティションの調整やドライブのデフラグメントなどの微調整は、HDD ベースのアレイに大きな違いをもたらします。
  4. キャッシュを有効にする: RAM または SSD ベースのキャッシュを使用すると、頻繁にアクセスされるデータの取得時間を短縮することで、読み取りおよび書き込み操作を高速化できます。
  5. スケールアウト:システムにドライブやノードを追加すると、ワークロードを分散し、全体的な IOPS 容量を増やすことができます。

ストレージのパフォーマンスを定期的に監視することを忘れないでください。Iometer、FIO、またはベンダー固有のユーティリティなどのツールを使用すると、ボトルネックを特定し、最適化の取り組みを導くことができます。セットアップを微調整することで、最新のアプリケーションの要求を満たす、一貫した高速パフォーマンスをシステムが提供できるようになります。

結論

IOPSは、ストレージのパフォーマンスを理解し最適化するための重要な指標です。HDDとSSDの比較、NVMeの評価、容量の計画など、IOPSを把握することで、インフラストラクチャの効率的な運用、需要への対応、効果的な拡張が可能になります。適切なテクノロジーと構成に重点的に取り組むことで、最新のアプリケーションに必要な高速パフォーマンスを実現できます。

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