ハイブリッドクラウドは優れたIT戦略ですが、互換性のあるデータ管理プランがなければ、企業のリソースは効率的に活用できません。
プライベートクラウドだけでなく、複数のパブリッククラウド・プロバイダーにワークロードを展開する企業が増えていて、ハイブリッドクラウドの世界になってきています。もちろん、クラウドに移行する正当な理由はたくさんあります。計算能力の柔軟性や、最新のアプリケーション環境の必要性などです。
しかし、ほとんどの企業で十分に考えられていないのが、互換性のあるデータ管理機能という観点からハイブリッドコンピューティングを考える必要がある分野です。
つまり、ハイブリッドコンピューティングモデルを最大限に活用するためには、パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスのデータセンター、さらには複数組織でのデータ交換など、ユーザが納得できる場所でデータを操作し、それを最小限のあつれきで実現できるデータモデルを採用することも必要なのです。
データからスタート
ハイブリッドクラウド戦略の第一歩は、データそのものをポータブルにし、完全に管理できるようにすることです。実際には究極の目標は、分析およびAIソフトウェアプラットフォームに、すべてのパブリックおよびプライベートクラウドの実装で利用可能な統一されたデータリポジトリを提供しつつ、あらゆるクラウドプラットフォーム上のあらゆるワークロードを透過的にサポートできる真のクロスプラットフォームに向けて進化させることです。
このようなソリューションでは、さまざまなワークロードがデータを利用できるようにするために、多くの機能を実装する必要があります。また、オンプレミスのデータレプリケーションやグローバルなデータ検索、規制要件を満たすためのデータガバナンスなど、すべてのデータを管理する共通の管理プレーンを含む、安全でスケーラブルでかつ弾力的な環境に存在しなければなりません。
このソリューションは、幅広いテンプレート範囲とプラットフォーム間でのランタイムの互換性を持ち、主要なパブリッククラウド(AWS、Azure、GCP)で動作し、さらにAIアクセラレータ(Nvidiaなど)で動作することが必要です。データウェアハウスおよび/または個々のクラウドプロバイダーによる独自のデータストレージ・ソリューションを使用すると、データ資産価値の最大化を妨げ、容易な移動の妨げになってしまいます。
データ品質より重要なものは無し
分散型ハイブリッド環境におけるもう一つの重要な考慮すべき点は、多くの企業がAI対応システムに移行し、データセットに基づくモデルを構築するにつれ、データの品質を確認することがより重要になることです。破損したデータに基づいての機械学習や人工知能アルゴリズムに使用されるモデルは、悪いモデル、そして信頼性の低い洞察力を生み出してしまいます。
企業データの価値を最大化し、そのデータから提供される質の高いインサイトを直接的に推進するために、企業はクリーンで最新の、完全に管理された安全なデータを提供するデータプラットフォームを必要としています。また、個人だけでなく、AIモデルやワークロードプロセスなど、誰がデータに「触れたか」を確認できる機能も必要です。
これを実現するには、データの系統を追跡することが重要ですが、すべてのデータウェアハウスがそのような機能を容易に提供できるわけではありません。
データ処理をオンプレミスからクラウドへ
企業組織は、コンテナやマイクロサービスなどのクラウドベースのモダンなアプリケーション戦略を採用し、まずオンプレミスで使用し、その後パブリッククラウドに移行することからクラウドへの移行を始めることが多いようです。この手法は安全な実験を可能にし、どのワークロードが安全かつ効果的にパブリッククラウドに移行でき、どれがオンプレミスに留まるのが最適かを確認することができます。
クラウド上のワークロードをオンプレミスに戻したり、必要に応じて別のパブリッククラウドプロバイダーに移行したりすることもできるため、この方法は一方通行にはなりません。そのためには、アプリケーションとデータの両方をクラウド間で移動できないような、独自のAPIやシステム・コンポーネントを使用してロックダウンしないクラウドインスタンスを作成する方法が必要です。ロックインは、完全にオープンなクラウド環境を言い張るベンダーであっても、現実的な問題です。要は、ロックインされた環境では、データを適切に管理することができないということです。
最適なデータ・プラットフォームを選択する
エンタープライズ型のハイブリッド対応データプラットフォームを使用することで、オンプレミスまたはクラウド上のさまざまなプロセッサで動作する必要なワークロードにデータを移動する能力が向上します。さらに、シングル・インスタンスを管理し、多様なデータセットを複数のプラットフォームに分散させないことで、データの品質を確かなものにします。
さらに、規制の厳しい業界や地理的な制約のある環境では、データのガバナンスを最大限に高めることが、規制による罰金やデータ漏洩の防止に不可欠です。最終的に、トップクラスのデータプラットフォームは、一度書き込めばどのクラウド環境でも実行できるようになり、ワークロードの処理能力を真の意味で種々さまざまな組み合わせるできるようになると想定します。ハイブリッドクラウド環境から最大限の利益を得ようとするならば、企業は真のハイブリッド対応データクラウド機能を設定する必要があります。
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