コンテナ サービスの本格化で生まれ変わるVMware
マイクロサービスやDevOps、クラウド ネイティブといった用語は、どちらかと言うとバズワード(buzzword)的な印象があります。その意味はわかっていても、何となく掴みどころがなく、耳元の虫の羽音(文字どおりbuzz)に近かったのですが、VMwareがKubernetesとの連携を本格化させたことにより、俄然、具体性を帯び始めました。ぼんやりとした概念が急に現実味を帯びた感じで、もはやバズワードではなくなりました。
この夏、VMwareは仮想化ソフトウェア会社の殻を破り、エンタープライズサービスのプロバイダとして大きく羽ばたいた!
そんな記事がネット上で踊るのを見ました。8月最終週にサンフランシスコで開かれたVMworld 2019では、それが最大の焦点だったと報じられています。
マーケティングや広告的な戦略のことはよくはわかりませんが、端的に言ってしまえば、「要はvSphereとKubernetesの連携が進んだ」ということだと理解しました。べつにVMwareが些細なことを針小棒大に宣伝しているというつもりは毛頭ないです。むしろ、Kubernetesとの連携は重大なステップであり、それにより、コンテナを活用したマイクロサービスの開発、DevOpsの推進が図られ、ハイブリッド環境におけるクラウドネイティブな運用が実践されるはずです。前述のバズワードを、この一文に無理矢理つなげたわけではありません。無理につなげなくても、VMwareがKubernetesを本格的に取り入れたおかげで、漠然としていたバズワードがすべて自ずと一つにつながったのです。
企業のIT環境は、クラウドの導入が進んでも、多くの場合、オンプレミスとの併用は避けられず、ハイブリッド化を目指すことになるのが一般的です。企業システムの開発環境は一枚岩ではいられず、マイクロサービスの導入が否が応でも進みます。そのほうが効率がよく、現場のニーズを汲み取るスピード感に差が出ます。そのような、アジャイルなDevOpsの実現を目指すには、コンテナがもたらす柔軟性と拡張性は無視できません。マイクロサービスは読んで字のごとく、サービスを細かいファンクションごとに切り分けているわけで、切り分けたのなら、やはり読んで字のごとく、コンテナが便利なことは素人でも何となくわかります。VMwareが本格的にコンテナ サービスに乗り出し、それがハイブリッドなマルチクラウドで利用しやすくなれば、VMwareが踏み出した一歩を実は革命的なことかもしれません。もっと言えば、すでに浸透している安定したVM技術に、コンテナ技術が追加されることで、Red HatやDockerなど、先行する競合他社には真似できないVMwareならではの新しいハイブリッド環境サポートが期待できます。
「単にKubernetesとの連携を深めただけ」と、まるで取るに足らないことのように述べてしまいましたが、実際には「エンタープライズ サービス プロバイダとして大きく羽ばたいた」が決して大げさなキャッチフレーズではなくなる可能性が充分にあります。