仮想化技術は今、過渡期を迎えています。企業にとって効率性、スケーラビリティ、サステナビリティのニーズが高まる中、より高度な仮想化技術へのアップデートが必要になってきています。従来のハイパーバイザーから一歩進んだ、インフラストラクチャ、障害復旧(DR)、クラウド統合を包括的に管理するデータセンターが、時代に求められています。
目指すべきは、単なる仮想化にとどまらず、高度な自動化で効率性を促進し、AI技術を駆使してワークロードを柔軟に管理する総合的なデータセンターです。つまり、AIを活用した分析と予測でワークロードを適切に割り当て、潜在的な問題を未然に防いで、ダウンタイムを最小限に抑える「インテリジェント データセンター」です。
また、エッジコンピューティングの発展により、データセンターとデータソースの距離が縮まり、処理の高速化、意思決定の迅速化が可能になっています。データセンターは実際には「センター(中心)」ではなく、分散環境となっており、それをシームレスに統合してパフォーマンスを向上させるための仮想化技術の役割が拡大しています。
さらに、データセンターの仮想化技術には強固なセキュリティも求められています。サイバー攻撃がより高度化、巧妙化している現代において、データセンターのセキュリティは最優先課題であり、ハイパーバイザーレベルはもちろん、アプリケーションレベルでも、セキュリティ強化策の徹底が不可欠です。暗号化や多要素認証(MFA)、ゼロトラスト アーキテクチャは、オンプレミスでもクラウドでも必要最低限の要素となっています。
セキュリティに加え、昨今、重要視されているのはサステナビリティです。消費電力を抑え、企業のカーボンフットプリントを改善することは、地球環境に寄与して企業の社会的責任を果たすだけでなく、コストの節約と効率化の推進につながるので、企業経営上、大きな意味があります。これを実現するには、革新的な冷却システムやエネルギー効率の高いハードウェアの導入などが必要となり、データセンターの設計段階からサステナビリティを念頭に置いた取り組みが鍵となります。
昨今は、VMwareを取り巻く状況の変化に応じて、社内の仮想化環境を見直している企業も少なくないようです。これは従来のハイパーバイザーからのレベルアップを図り、クラウドやオンプレミスの分散環境をシームレスに統合する包括的なデータセンターを目指す絶好の機会かもしれません。
関連トピックス:
- データセンターでの多種類のハイパーバイザー管理は?
- 仮想化のディザスタリ・リカバリ・プランに関するエッセンシャル・チェックリスト(プレゼンテーション)
- vCenter機能を超えたvCloud Director(vCD)のIT機能での5つのユーザ・ケース例
- なぜWindows 10を仮想化するべきであるのか
- VMware vCenter サーバは仮想化にすべきかどうか?
- vSphere 6でのvMotionの機能強化
- 仮想化データの事業継続(BC)とディザスタリ・リカバリー(DR)プランのためのヒント
- VMware, 技術白書「The VMware Reference Architecture for Stateless Virtual Desktops on Local Solid-State Storage with VMware View 5」を発刊