BI(ビジネス インテリジェンス)とは、データアナリティクスのビジネス運用です。なんて、あらためて言う必要もないですが、BIとAI(人工知能)の関係を考えたとき、そもそもBIって何だっけ?と思ってしまいました。データの分析はAIの基本だし、データアナリティクスの観点から言えば、BIはAIの弟分のような存在、あるいは遠い親戚か、せめて遠い親戚が雇っている家庭教師ぐらいの関係性は少なくともあると思っていたのですが、見方によっては、BIとAIは相反するものなのですね。
つまり、こういうことです。BIはデータアナリティクスの結果得られた指標をビジネスの意思決定者にわかりやすく提示し、ビジネス運営上の決断を下すための支援をするもの。要するに、意思決定を行うのは人間です。それに反して、AIはAI自体が人間の代わりによりよい判断を下してくれるのであって、人間が意思決定をする必要を省くものです。
また別の観点から言えば、BIは過去のデータの傾向などを提示し、AIは未来のデータを予測します。そのツールを使用する人間から見れば、時間軸も正反対です。
そうすると、AIは果たしてBIの味方なのか、敵なのか、という疑問に行き着きます。AIは、あるときはBIを助けてくれ、BIのデータ分析力を高めてくれる頼もしい存在となります。「さすがAIにいさん、頼りになる!」とBIがすっかり心を許していたら、AIはやがてビジネスの意思決定も自分で行うようになり、BIは気付いたときにはすっかりお払い箱になっていた、ということもあり得ます。冗談めかして書いていますが、AIがBIをお払い箱にするのは、普通に考えたら、当然の成り行きではないでしょうか。
そもそもAIは多くの人間の仕事を奪うと言われています。ビジネスの意思決定をする人(部長さん?社長さん?)の仕事を奪っても不思議ではありません。つまり、社員はみんなAIによる正確かつ適正な判断のもと、AIに雇われて仕事するのが近未来の会社です。
しかし、ビジネス運営にはAIでは分析しきれない面が多々あることも周知の事実です。たとえば、Amazonが社員の採用判断にAIを取り入れたら、AIの判断基準も完全に公平ではなく、多少の偏見や先入観が混じっていたようで、その使用が中止されたという事例もあります。
つまり、最後は人間が判断しなければならず、ビジネスの意思決定もAIが下した決定に最後は部長さんがハンコを押さなければなりません!
いや、間違いました。ハンコを押すだけなら、AIどころか、腕の上下運動だけを繰り返すロボットでもよくなってしまいます。そうではなくて、BIが判断材料を提示し、人間がそれにもとづいてビジネスの意思決定を下すことがやはり不可欠です。AIはBIをお払い箱にするのではなく、BIが提示する判断材料をより的確にしたり、BIの元となるデータの分析をより深く、鋭くするためのサポートに徹するべきです。よって、AIはBIにとって頼りがいのある「AIにいさん」であり続けなければならず、BIツールやダッシュボードの役割がなくなることはありません。
ちなみに、そのようにビジネスアナリティクスをAIで補強することをAugmented Analytics(拡張分析)と呼び、今後さらに普及して行くと予想されています。さすが、AIにいさん!
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