Veeamは先日(5/5)、新しいフリーソフトであるVeeam FastSCP™ for Microsoft Azureを発表しました(現在、ベータ版で公開中です)。このソフトはMicrosoft AzureのVMにファイルを転送することのできるソフトです。
なぜこのようなソフトをVeeamが発表したかというと、ローカルマシンからAzure VMにファイルをコピーするためにはVPNを介して接続し、ドメインに参加していない限り、とても手間がかかるためです。VPN、ドメイン参加がない環境では以下のような方法がファイル転送に考えられます。
方法1:RDP(リモートデスクトッププロトコル)を介した転送
一つ目の方法はRDPを介してファイルをコピーする方法です。しかし、この方法は基本的に小さなファイルのために設計されています。そのためセッションのタイムアウトや切断が発生し、データ転送が妨害された場合には転送をやり直す必要があります。
したがって、クラウドサービスであるAzureへの接続でも、短時間の切断はゆるされず、何度もファイルコピーをし直したり、RDPは本来ファイル転送用のプロトコルではないため速度の低下、またリモートデスクトップのウィンドウを開いたままにする必要があるなど手間がかかります。
方法2:VMディスクの接続
2つ目の方法は空の仮想ディスクVHDをオンプレミスに作成し、そこにファイルをコピー、その後、Microsoft Azureのストレージアカウントにディスクをアップロードし、VMに接続する方法です。
この方法はRDPを介した方法よりも安定して転送できますが、かなり回りくどい方法です。さらにアップロードしたディスクがファイルコピー後はいらないのであれば、ディスクをVMから取り外しストレージアカウントから削除するという手間まで発生します。
また一時的とはいえ仮想ディスクを分のコストがMicrosoft Azureで発生します。
この問題を解決するために、作られたのがVeeam FastSCP for Microsoft Azureです。
使い方は簡単です、DNS名とWinRMのポート、VMの認証情報を登録するとVMのファイルにアクセス可能になります。
これで、簡単にファイルを安定してVMにアップロード、ダウンロードすることができます。
また、ジョブを設定することでファイル、フォルダをスケジュールに従いアップロード、ダウンロードすることもできます。
※シンプルなものであるため、毎回指定したファイル、フォルダをアップロード、ダウンロードする形式です。変更追跡等は特にありません。
ジョブもウィザード、5ステップで作成できます。
ジョブ名、対象ファイル、フォルダの選択
ジョブ実行前後のPowerShellスクリプト設定
※スクリプトを設定できるのでPowerShellで対象アプリケーションのバックアップを作成し、バックアップするなどの使い方も可能です。
このようにMicrosoft Azureユーザのちょっとした手間を減らすソフトとなっています。
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