Veeamはver7から仮想ディスクごとの並列処理機能が加わり、これによりバックアップ、レプリケーション速度が大幅に改善されました。
VeeamはVer7になってどれだけ速くなったのか?並列処理(Parallel Processing)
しかし、この並列処理をフルに実施してしまうとバックアップ元vSphereから同時に複数ディスクを読み取り、データストアのI/Oに負荷がかかり、結果としてディスクの待ち時間が長くなってしまいます。これに対処するためにVer7でもプロキシのタスク数などを制限し、並列数を調整することで対応できましたが、環境によっては柔軟な構成、設定が難しくなっていました。
そのため、Ver8からはバックアップ・レプリケーション時のVMware/Hyper-Vのデータストアに対するI/Oコントロール機能(パテント取得中)が追加されます。この設定を行うことで任意のデータストアで許容する待ち時間を制限することが可能です。
この設定はシンプルです。
まず、“Stop assingning new tasks to datastores at”はデータストアに対する新しいタスクの割り当てを停止する設定です。新たにタスクを割り当てることはディスクの読み取り処理が追加されることになるため、待ち時間が増加します。そのため、タスクを開始する前にデータストアの待ち時間を確認し、この設定した値以下であればタスクを開始します。
次に“Throttle I/O existing tasks at”は既にタスクを実行中の状態で、外部からの負荷が発生した場合の設定です。たとえばバックアップ対象のVMがあるデータストアと同一のデータストア上のVMでSQLのメンテナンス処理が開始されI/Oが増加し、待ち時間も増加したとします。その際にVeeamは対応するデータストアに対して実行中タスクの読み取りI/Oを絞り、設定した待ち時間を下回るように調整します。調整が必要なため多少時間がかかりますが、これにより、アプリケーションへの影響をなくすことができます。
以下が実際の待ち時間のグラフです。
左側が制限を行わずジョブを実行した場合のもので、右側が30msの制限を行いジョブを実行したものです。I/Oコントロール機能により制限がかかっていることがわかります。
この機能はEnterpriseエディション以上の機能となっており、Enterpriseではグローバル設定のみですが、Enterprise Plusでは各データストアごとにI/Oをコントロールできます。
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