Ver7まではゲストOS上の静止点を作成する際に、Microsoft VSSに対応していないアプリケーションについては、VMware Toolsの機能を利用し、ゲストOS上に配置したカスタムスクリプトを実行する必要がありました。
この方法は仮想マシン一つ一つに対して、ログインし手動でカスタムスクリプトを配置する必要があり、変更を行う際にも再度ログインして…と手間のかかる作業になっていました。また、VMware Toolsからの静止点作成のみしか行えないため、Veeam独自のVSS実行(Application-aware image processing)とは併用できないという問題点もあります。
この手間が多かったカスタムスクリプトを実行するための仕様がVer8では改善されます。改善内容としては大きく以下の2つになります。
・指定したパスにあるスクリプト(.bat, .sh)を、ジョブ実行時に自動的にゲストOS上に配置
・Veeamからの静止点作成時にカスタムスクリプトが実行可能に
このver8での機能を利用した例として開発元ウェビナーからIBM Lotus Dominoの静止点を作成する例をご紹介します。
Backing up non VSS-aware applications – IBM Lotus Domino
IBM Lotus DominoはMicrosoft VSSをサポートしていません。そのため、スクリプトを使用して静止点を作成した状態でバックアップを取得する必要があります。
今回使用するスクリプトは全てのサーバのセッションを閉じる”drop all”を実行後、キャッシュをディスクに書き込む”dbcache flush”を実行し、静止点を作成しています。
————スクリプト例——————————————————-
c:\Domino\nserver.exe -c “drop all”
timeout /t 5 /nobreak
c:\Domino\nserver.exe -c “dbcache flush”
timeout /t 5 /nobreak
———————————————————————————-
このスクリプトをジョブの設定の”Gust Processing”のApplicationsボタンから指定していきます。
そして、この設定を行ったジョブを実行すると静止点作成時にスクリプトが実行されていることが確認できます。
カスタムスクリプトが実行されることで静止点が正常に作成されたバックアップが行え、ファイルレベルリストアでデータベースファイル(NSF)単体をリストアし各々のメールを復旧するなどの使い方も行えます。
このように、Ver8からはバックアップの管理者がゲストOS内に入ることなく、VSSに対応していないアプリケーションについてもカスタムスクリプトを簡単に設定できます。
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