災害対策のため、同じVMに対して、バックアップとレプリケーションの両方が必要になる場合、運用環境への負荷が倍になります。それぞれ別々にVMスナップショットを作成して、運用環境から2回VMデータを転送する必要があるためです。
ここで『バックアップからのレプリケーション』機能の出番です。この機能は、バックアップジョブによって作成されたバックアップファイルをソースデータとして使用することで、運用環境への負荷を軽減することができます。
『通常のレプリケーション』 バックアップジョブとレプリケーションジョブ、それぞれでVMスナップショットを作成し、運用環境から同じデータを2回転送する必要があります。 |
『バックアップからのレプリケーション』 バックアップファイルからデータを取得して、レプリケーションを行います。そのため、運用環境に対して、VMスナップショットの作成、データ転送は1回のみです。 |
レプリケーションの際にバックアップファイルを使用する機能には、他にも『レプリカシーディング』機能があります。これらの機能には次のような違いがあります。
- 『レプリカシーディング』はレプリケーションジョブの最初の実行中のみバックアップファイルを使用します。VMレプリカのリストアポイントを作成するときには、レプリケーションジョブは運用環境にアクセスし、ソースストレージからVMデータを読み取ります。
- 『バックアップからのレプリケーション』は、データのソースとしてバックアップリポジトリのバックアップファイルを使用します。VMレプリカの新しいリストアポイントを作るとき、常にバックアップファイルの最新のリストアポイントからVMデータを読み取ります。バックアップリポジトリのバックアップファイルは、バックアップジョブまたはバックアップコピージョブを使用して作成することができます。
『バックアップからのレプリケーション』は、レプリケーションジョブを設定するときに、VMデータのソースとなるバックアップファイルが保存されているバックアップリポジトリを指定することで有効になります。
このVMバックアップファイルが複数のバックアップリポジトリに保存されている場合は、ソースとして複数のバックアップリポジトリを選択することができます。この場合には、これらのバックアップリポジトリ間で最新のリストアポイントを探します。
例えば、同じVMを処理する2つのバックアップジョブが構成されており、これらのジョブの保存先は異なるバックアップリポジトリです。バックアップジョブは次のバックアップファイルを作成します。
- バックアップジョブ①は、バックアップリポジトリ①に2つのリストアポイントを持っています。日曜日に作成されたフルバックアップファイルと火曜日に作成された増分バックアップファイルです。
- バックアップジョブ②は、バックアップリポジトリ②に1つのリストアポイントを持っています。月曜日に作成されたフルバックアップファイルです。
レプリケーションジョブは、バックアップファイルからVMデータを取得するように構成され、毎日実行するようにスケジュールされています。この場合、レプリケーションジョブは、次のようにバックアップファイルからVMデータを取得します。
- 日曜日、レプリケーションジョブはバックアップリポジトリ①のフルバックアップファイルからVMデータを取得します。
- 月曜日、レプリケーションジョブはバックアップリポジトリ②のフルバックアップファイルからVMデータを取得します。
- 火曜日、レプリケーションジョブはバックアップリポジトリ①の増分バックアップファイルからVMデータを取得します。
また、レプリケーションジョブが開始される時間に、バックアップリポジトリに新しいリストアポイントが作成されていない場合には、最新のリストアポイントがすでにレプリケーションされたことを通知する警告が表示されます。
運用環境からVMをレプリケーションする場合、レプリケーション実行時の最新のVMデータを取得します。バックアップファイルからVMをレプリケーションすると、バックアップファイルが作成された時点のVMデータを取得します。VMレプリカのリストアポイントは、レプリケーションジョブが実行されるときではなく、対応するVMバックアップファイルのリストアポイントと同じタイムスタンプです。
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