Veeam Backup & Replication Ver8ではサービスプロバイダ環境に簡単にVeeamのバックアップを転送するための仕組みとしてVeeam Cloud Connect機能を提供していました。これにより、エンドユーザはオンプレミスのバックアップを安全なSSL/TLS接続を介して、簡単にサービスプロバイダ環境のストレージへ2次バックアップ可能になりました。
そしてVer9では、このCloud Connectで転送可能できればと要望の多かったレプリケーション機能が追加されます。このVeeam Cloud ConnectレプリケーションによりエンドユーザはDRサイトを構築しなくとも、サービスプロバイダのデータセンターにあるvSphere, Hyper-Vへ簡単に複製VMを作成できます。
通常、DRサイトやサービスプロバイダの環境に、オンプレミス環境の仮想マシンの複製を作成しようとした場合、専用線や手間のかかるVPNのセットアップ、ファイアウォールのポート設定などが必要になります。しかしVeeam Cloud Connectを使用するれば、これらの手間なく、安全で信頼性の高いSSL/TLS接続を介して単一ポートでの転送が可能になります。
そのため、エンドユーザはサービスプロバイダへの接続設定をオンプレミスのVeeamコンソールから行い、表示されるクラウド上のホストへレプリケーションジョブの設定を行うだけで簡単にレプリケーションを行えます。この際に必要になる追加のコストについてですが、基本的にこのCloud Connectレプリケーション機能はStandardエディションから利用できるため、ライセンスとしては追加のコストは発生せず、割り当てリソース分のコストのみとなります。
また、フェイルオーバーにも複数のオプションが用意されます。それは通常の、サイト全てのフェイルオーバーと部分的なサイトのフェイルオーバーです。
この部分的なサイトのフェイルオーバーでは、物理的な場所に関係なく仮想マシンの通信を維持できます。これはVirtual Labにも活用されている、組み込みのネットワーク拡張仮想アプライアンスによるもので、Cloud Connectを介すことで安全にオンプレ環境とプロバイダ環境間の通信を確立でき、これによりネットワークを大幅に簡素化できます。
したがって他のソリューションとは異なり、Veeam Cloud Connectレプリケーションは単純にVMデータの複製を管理するだけではなく、2つのサイト間のネットワーク接続も管理することが可能です。
サービスプロバイダー視点
災害対策(DRaaS)は、多くのエンドユーザが望むサービスです。Veeam Cloud Connectレプリケーションを用いることでサービスプロバイダは迅速にVMware vSphereとMicrosoft Hyper-V環境用のDRaaSサービスを開始できます。組み込みのマルチテナント、ネットワーク接続管理機能により、同一ハードウェア上で各エンドユーザを完全に分離できるため、Veeamを既にご利用のサービスプロバイダは追加のサードパーティソフトウェアにかかるライセンス、教育、メンテナンスなしでこのようなDRaaSサービスを実現できます。
特徴
- 使いやすさ:エンドユーザは使い慣れたVeeamのコンソールからサービスプロバイダを登録するだけでクラウド上のホストを従来のレプリケーションジョブと同様に複製先として指定できます。そのため既存のVeeamユーザは特に学習しなくとも簡単に利用できます。
- ネットワーク:DRサービスで最大の問題点となるネットワークの心配を排除できます。組み込みのネットワーク拡張仮想アプライアンスにより、複製VMのTCP/IP設定を変更しなくとも、フェイルオーバ実施中の通信を維持できます。
- 帯域幅の削減:シーディング、圧縮、バックアップからのレプリケーション、組み込みのWANアクセラレーションといった転送量の削減機能をVeeam Cloud Connectレプリケーションでも使用できます。これにより、大容量のデータ転送や低速で信頼性の低いようなWAN接続のために、あきらめていたようなお客様でも本来あるべきRPOを実現できるようになります。
- セルフサービス:クラウドサービスでは必須となるセルフサービス機能をVeeam Cloud Connectでも利用できます。エンドユーザがWebポータルにアクセスし、フェイルオーバープランを指定することで簡単にフェイルオーバーを実施できます。サービスプロバイダを介す必要はありません。
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Veeam Cloud & Service Provider(VCSP) プログラムについては: https://www.climb.co.jp/tech_blog/archives/1342