まもなく正式リリースされる仮想環境特化のバックアップ&レプリケーションソフトVeeam Backup & Replication バージョン 9。
このバージョン9には様々な機能改善・追加が施されています。
その中にはストレージとの連携による処理性能の向上も複数あります。
重複排除ストレージであるHP StoreOnce Catalystとの連携機能追加で、バックアップやレプリケーションなどの、Veeamの処理における性能向上が図られています。
※Catalystとの連携はEnterprise Editionからの機能になります。
連携機能追加により、合成フルバックアップ時にバックアップファイルのマージを行う処理が、物理的なデータ操作ではなく論理的なデータ操作になるため、マージ処理のパフォーマンスが約10倍向上します。
また、リストア時にはバックアップファイルからの読み込みに際してランダムIOが発生しますが、StoreOnceはランダムIOの処理にはあまり長けておらず時間がかかってしまうということがありました。
本バージョンにおいては、StoreOnceに合わせてリストア時の処理のパフォーマンスを最適化しているため、以前のものよりも大幅にリストア時間を削減できています。
今回は、日本における総代理店である弊社に特別に提供されている、正式リリース前のVeeam Backup & Replication バージョン 9を使い、バックアップ時のHP StoreOnce Catalystとの連携機能を試してみました。
まず、Veeam Backup & Replication バージョン 9 の画面です。デザインはフラットデザインを採用しました。
通常のレポジトリとして登録するのと同様にBackup Infrastructureを開き、Backup Repositoriesを選択します。
上のツールバーが切り替わるので、そのリストの中からAdd Repositoryを選択します。
するとレポジトリ追加ウィザードが開きます。
まずはレポジトリに付ける名前を入力します。
レポジトリのタイプが4つ選択可能ですが、一番下の「Deduplicating storage appliance」を選択します。
このDeduplicating Storageで、使用するストレージの選択を行います。HP StoreOnceを選択します。
StoreOnceのサーバ名および認証情報を入力します。
iSCSIではなくFC接続を使用する場合は、Use Fibre Channel connectivityにチェックを入れます。
Gateway serverはStoreOnceと連携する際にどのVeeamサーバで処理するかの設定です。
デフォルトでは自動選択ですが、同時に動作させるジョブが複数ある場合は特定のVeeamプロキシサーバを指定することを推奨します。
StoreOnceのCatalystストアを選択します。他の部分はレポジトリ共通の設定項目で、同時作動ジョブ数と処理速度の制御となります。
vPower NFS使用時のマウントサーバを選択します。通常であればデフォルトを指定します。
これでレポジトリ登録は完了です。
次にバックアップジョブにおいてどのように設定を行うかです。
バックアップジョブは、重複排除ストレージであるStoreOnceの特性を生かす設定が可能です。
まずは、ジョブのレポジトリに登録したStoreOnceレポジトリを選択します。
Advancedボタンを押して開くウィンドウから、Storageタブを選択します。
ここで、一番上のEnable inline data deduplicationのチェックを外します。これはVeeamの重複排除機能を無効化しています。
続いて、Compression LevelをNoneにします。これはVeeamの圧縮機能を無効化しています。
その下のStorage OptimizationはLAN target(16TB+ backup files)を選択します。これはStoreOnceの重複排除効果を最大化する設定です。
これでジョブを開始します。
下に比較を用意しました。どちらも同じVMをフルバックアップで処理した時間です。
まずはVeeamの重複排除も圧縮も有効の、通常のジョブの時間です。7分21秒かかっています。
次にVeeamの重複排除と圧縮を無効にした、StoreOnceジョブの時間です。
Veeam側の2つの機能が無効化されているため、データ量は通常のジョブより増加しているはずですが、5分44秒と時間が短縮されました。
これは圧縮や重複排除が無効化されているため、Veeam上の処理量が減り、結果として負荷が軽減され、さらにStoreOnceとの連携機能による相乗効果でジョブの時間が短縮されているためです。
StoreOnceの重複排除機能を使用しつづければ、すでにあるデータブロックと同じデータが来ればそれも重複排除されるため、さらにバックアップの処理時間が早くなることが予想されます。
また、このほかリストア時の連携機能も含まれ、リストアにかかる時間も2分の1になるような効率化がなされているため、より使いやすいものとなっております。
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