Veeamではv7からvCloud Directorをサポートし、vAppのメタデータまで含んだバックアップ、リストアを提供してきました。しかしながら、セルフサービスなバックアップを提供するためにはRESTful APIにより独自に自身のポータルサイトなどと統合を行う必要があり、簡単にとはいきませんでした。これがv9.5から改善され、より簡単にセルフサービスなバックアップを提供できるよう、以下のような機能が提供されます。
・vCloud資格情報との統合(vCloud用のVeeamポータルサイト)
・セルサービスのバックアップとリストア(vCDの組織ユーザ)
・ジョブテンプレートによる簡単な管理(サービスプロバイダー)
・vCloud資格情報との統合
V9.5からvCloud専用のVeeamポータルサイトが組み込みで用意されています。このポータルにログインする際にはvCDのネイティブの認証を活用できるため、バックアップやリストアのためにいちいち別のユーザを構成するなどの手間なく、既存環境にセルフサービス機能を構成できます。
もちろん、ログインしたユーザに合わせてユーザ自身の組織のみが見えるようVeeamが自動的にvCloudのリソースをフィルタリングします。
・セルフサービスなバックアップ
vCloud用のVeeamポータルにログインしたユーザは自身でジョブを作成できます。どのVMをバックアップするか、リストアポイント数をいくつにするか、どのようなスケジュール(制限も可能)でバックップするかといった項目を自身で設定可能です。当然、vCloudのユーザが全ての設定を行えるわけではありません。ジョブの高度な設定やバックアップ保存先、保存先で利用可能な容量などはサービスプロバイダーのみが構成可能であり、細かい設定はジョブのテンプレートからインポートできます。
また、ゲストOSに対する静止処理もvCloudのユーザが自身で設定できます。これによりサービスプロバイダーにゲストOSの資格情報を提供することなく、ゲストOS上のアプリケーションに最適な整合性のとり方をユーザ自身が構成可能です。
・セルフサービスのリストア
vCloud用のVeeamポータルにログインしたユーザはバックアップを行った自身の組織の vApp、VM、ゲストOSファイル、アプリケーションアイテム(SQL ServerとOracleデータベース)をリストアできます。また、VMのリストアの際には変更された部分のみを切りもどすロールバックオプションも使用可能です。
・サービスプロバイダーの管理
サービスプロバイダーはVeeamのポータルで組織を登録することで簡単にセルフサービス機能を提供できます。組織が使用するリポジトリ(バックアップ保存先)、保存先で使用可能な容量、ジョブのテンプレート(既存ジョブを指定)を指定するのみです。このテンプレートによる高度な設定で、サービスプロバイダーが提供する環境に合わせたジョブ構成でユーザにバックアップを提供できます。
また、このようなセルフサービス機能を提供する際に気になる点としてバックアップ用インフラストラクチャの過負荷などの心配がありますが、Veeamでは負荷分散可能なプロキシを使用したアーキテクチャとそのリソースを自動管理する組み込みのインテリジェントなロードバランシングにより、過剰なリソースの消費を防ぐことが可能です。
詳細な使用方法については以下をご参照ください。
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