目次
はじめに
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のSimpliVity 380は、データ保護に独自の強力な機能を発揮し、仮想化ワークロードの可用性を最大限にひきだします。HPE SimpliVityにビルドインされたバックアップと災害復旧(DR)機能が、グローバルなデータ重複排除と圧縮により、処理を極限まで高速化します。例えば、1TBの仮想マシン(VM)のリストアあるいはローカルバックアップに平均60秒以下、 ならびにリカバリポイント目標10分の達成が保証され、余分なオーバーヘッドが一切ありません。すべての処理にOmniStackのコアアーキテクチャであるデータ効率化が適用されるからです。それにより、データのレプリケーション/バックアップ/リストアの加速、それによるリカバリポイント目標(RPO)とリカバリ時間目標(RTO)の短縮が実現されます。SimpliVityにおける処理はすべてVMレベルで、ハイパーバイザーの管理コンソールから直接、実行されます。それにより、インフラの複雑化を防ぎ、シンプルな管理が可能になります。
SimpliVityユーザーの中には、上記の既存機能に加え、クラウドやテープへのオフサイトアーカイブや、より緻密なレベルのリストアの追加(例えば、使用頻度の高いアプリケーションを対象とした粒度の高いリストア)などの補足機能を望む声もあります。また、ユーザー環境も様々で、SimpliVity以外のサーバーや仮想化できないサーバーでハイパーバイザーを稼動する異種混合インフラのユーザーもいます。そのような環境では、データ可用性確保のための特別な策が、依然として必要となります。当ホワイトペーパーは、そのようなユースケースをいくつか深く掘り下げ、HPE SimpliVity 380にVeeam® Backup & Replication™の追加が望まれるような事例を採り上げます。ここで紹介されるVeeamの各機能のより詳しい使用方法は、巻末のリンクを参照してください。
図1. HPE SimpliVity 380とVeeam Backup & Replicationによるデータ保護の多層構造を表す全体図
用語比較: Veeam Backup & Replication vs. HPE SimpliVity
VeeamとHPE SimpliVityのデータ保護機能には、共通点もありますが、使用される用語はしばしば異なります。当ホワイトペーパーを読み進める前に、個々の用語が各製品において、どのような意味で使用されているかを確認しておくことが重要です。
用語 | SimpliVity | Veeam |
バックアップ (Backup) | VMのローカルコピーのことを指し、特にSimpliVity独自の技術を用いて作成され、SimpliVityを中心に構成される環境で保管されます。 | VMデータのローカルコピーのことを指し、SimpliVity中心の構成とは別に、ポータブルなVeeamバックアップファイルに保管されます。 |
バックアップコピー(Backup copy) | 該当なし | Veeamバックアップファイルのコピーのことを指し、SimpliVity中心の構成とは別に、リモートサイト、クラウド、あるいはテープに保存されます。 |
リモートバックアップ(Remote backup) | VMのリモートコピーのことを指し、特にSimpliVity独自の技術を用いて作成され、別個のSimpliVityクラスタに保存されます。 | 該当なし |
レプリカ (Replica) | 該当なし | SimpliVityに登録された、あるいは非SimpliVity基盤のvSphereホストに登録されたVM全体のコピーを指し、オンサイトかオフサイトかは問いません。VMの迅速なフェイルオーバーとフェイルバックを可能にします。 |
HPE SimpliVity 380におけるVeeam Backup & Replicationアーキテクチャ
サーバーとストレージの従来型インフラにおいては各機能が専用ハードウェアに属しますが、SimpliVityはそれとは異なるしくみを採用しています。OmniStack Data Virtualization Platformにより、すべてのITスタックが単一のリソースプールを共有するハイパーコンバージドインフラを構成し、個々の製品を点と点をつなぐような隔離型のITアーキテクチャを排除しています。このような最新型の環境にVeeam Backup & Replicationを追加する場合、最適なパフォーマンスを確保するために特別なガイドラインにしたがう必要があります。同ガイドラインとともに、標準的なVeeamセットアップおよびインストール手順にしたがうことも有効です。標準的な手順は、巻末のリンクにあるVeeam Backup & Replicationユーザーガイドに解説されています。
- HPE SimpliVityハードウェアを10 GbEインタフェースに設定
標準コンフィギュレーションで、すでにHPE SimpliVity 380独自のデータサービスを処理するのに充分な10ギガビットイーサネット(GbE)インタフェースに対応するよう設定済みの場合が多いですが、管理ネットワークには1 GbEアダプタが使用されます。VeeamはESXiホストの管理ネットワークを利用してVMバックアップデータを取得するので、それらを10 GbEインタフェースに設定しなおすことが重要になります。
- Veeam Backup & Replicationに物理サーバーを活用
Veeam Backup & Replication用のサーバーはSimpliVityの枠組みの中で仮想化することも可能ですが、バックアップ処理に単一のSimpliVityコンピュートノードのネットワークアダプタばかりが集中的に使用される可能性があり、Veeamは直接アクセス可能なNICを通じて他のノードからVMデータを読み込むことになります。一方、物理サーバーを使用すれば、専用の10 GbEホストバスアダプタ(HBA)を、他のサービスとの競合なしに単独で使用することができます。また、物理サーバーにVeeamバックアップデータをローカル保存したり、あるいは処理のみを行い、HPE StoreOne CatalystやNimble Secondary Flash Array(SFA)などのストレージ専用のバックアップアプライアンスに送ることも可能です。
- Veeam Backup & Replicationに仮想サーバーを活用
仮想サーバーを活用したければ、最初の項目にある通り、管理ネットワークに対して10 GbEアダプタを有効にすることがとても重要です。同時に、専用の10 GbEポートも確保する必要があります。それにより、VeeamバックアップデータをHPE StoreOne CatalystやNimble Secondary Flash Array(SFA)などのストレージ専用のバックアップアプライアンスに送ることができます。Veeamの最適活用術としては、SimpliVity環境内のVMにバックアップの保存することは絶対に避けるべきだと考えられています。
- バックアップデータ取得には必ずVeeamのnetworkモードを選択(重要)
Veeam仮想サーバーでは、VMwareのHot Add機能を用いてVMバックアップデータを取得することが可能ですが、HPE SimpliVityでこの方法を使用することは、パフォーマンスや信頼性の問題により推奨されません。したがって、Veeamバックアッププロキシでは下図2にあるように、特別にnetworkモードを選択する必要があります。
図2. バックアッププロキシ設定でnetworkモードを選択
ホワイトペーパー HPE SimpliVity 380でVeeam Backup & Replicationを活用 がダウンロードできます。
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