コロナ禍が長引く中、ITレジリエンスのある企業とない企業で差が開きつつある、という記事をよく見かけます。たしかに、パンデミックが始まって以降、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を叫ぶ声も目立つようになりました。
でも、レジリエンスって何でしょうか?英語のresilienceは「回復力」とか「弾性」とか訳され、物理的に元に戻る力や、気力体力が立ち直る力を指すようです。つまり、困難に打ち勝つことです。
そこから派生して、ITアーキテクチャよりも先に本当のアーキテクチャ(建築)の設計コンセプトとして「レジリエンス」という言葉が使われ出したようです。建物が壊れそうで壊れない設計、つまり、あらかじめ起こり得る問題を想定して、それに対応する力を設計に組み込んでおくことです。たとえば、想定する問題が地震なら、耐震設計のことですね。
さらに転じて、ITアーキテクチャも同様に、あらかじめ起こり得る問題を想定して、対応力を備えておくべきという考え方が普及し、そこで「ITレジリエンス」の登場です。
ということは、ITレジリエンス=災害復旧(DR)なのでは、と思ってしまいますが、正確には、DRはあくまでレジリエンスの一部です(と言っても、すごく重要な一部ですが)。実際には、レジリエンスは起きてしまった問題からの復旧だけでなく、起きないように防ぐこと、起きても被害を最小限に食い止めることなど、もっと総合的なコンセプトとされています。
レジリエンスという言葉は、もともとの意味の「回復力」から、困難への柔軟な「対応力」に進化したようです。
ここから推察するに、企業がITレジリエンスを身につけるためには、データ保護とDRはもちろん、セキュリティ ポリシーの徹底、脆弱性の除去、スタッフのセキュリティ意識の育成など、すべきことは広範囲に及ぶはずです。
ここでは、コロナ禍でITレジリエンスの獲得または強化が緊急課題となる中、企業がレジリエンス実現のために検討すべきIT環境の3要素を見ていきます。
- ハイブリッド クラウド
企業は、プライベート クラウドとパブリック クラウドを組み合わせることで、必要に応じて両者の良いとこ取りができるようになります。ITチームは、個々のワークロードごとにベストの適用パターンを見つけ、クラウドのコスト効率とスケーラビリティを最大限に利用でき、データセンターの効率化、パフォーマンスの最適化が図れます。
ハイブリッド クラウド全体を単一のインフラストラクチャとして一元管理できるプラットフォーム ツールの導入も重要です。それにより、一層の効率化とセキュリティの徹底が可能になります。一貫性のあるセキュリティ ポリシーをインフラストラクチャ全体に適用することは、リモートワークなどで労働環境が多様化する中、必須課題となっています。
個別のチームや一社員がシステム管理者のあずかり知らぬところで独自にツールを導入することを「シャドーIT」と呼び、リモートワークの増加にともない、企業のセキュリティを脅かすリスクとして注目されるようになりました。シャドーITを防ぐためにも一貫性のあるポリシーの徹底は欠かせません。
コロナ禍でのIT環境の多様化は、社員だけでなく、顧客との関りにおいても進んでいます。顧客のほうから店舗やサービス窓口に出向いてくれる従来の形態もデジタル化が顕著になり、セキュリティ体制の充実度がそのまま企業の信頼性に反映されるようになりました。
ハイブリッド クラウドのインフラ全体を一元管理して、セキュリティ ポリシーを徹底したり、パフォーマンスの悪いアプリケーションの配置を見直したり、柔軟にスケーリングできるようなることは、企業のITレジリエンス強化に直結する取り組みだと考えられます。
- 複雑さの除去
複雑すぎるIT環境は、ビジネス サステナビリティ(持続可能性)の大敵です。ITチームが手動プロセスに多くの時間を取られていたり、ダウンタイムの原因究明に余計な時間がかかったり、リカバリ時間目標(RTO)とリカバリポイント目標(RPO)の達成が阻害されれば、ビジネスのパフォーマンス、つまりは収益に大きく響きます。
これを回避するには、バックアップやレプリケーションのデータ保護プロセスを自動化し、ポリシーを一元管理できるツールの活用でITオペレーションの単純化を図るのが得策です。
- シームレスな統合
すでに実績のあるソリューションを導入することは、特にバックアップ、リカバリ、データ保護プロセスを効率化するうえで非常に有効な手段です。仮に社内のITリソースが不十分と思われる状況でも、コロナ禍のような非常事態でのIT環境の変化への対応やDX推進への圧力、コンプライアンス要件の複雑化は立ち止まってはくれません。適切なツールとサポートの採用が、レジリエンス強化への近道であることはもちろん、唯一の道である場合も珍しくはありません。
以上の3要素を満たすために、クライムでは、個々のお客様が置かれた状況やニーズに応じて、Veeam、Zerto、HyTrust、Kastenなどの最適なツールの導入と運用をサポートいたします。
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