クラウド環境においてステートレスまたはステートフル アプリケーションを実行させるコンテナ プラットフォームとして、今やKubernetesは紛れまないデファクトスタンダードとなっています。ビジネス オペレーションのエコシステムとして、企業のクラウドへの依存度は年々高まる一方です。企業の開発チームもIT運用チームも、プラットフォームの革新のスピードに追いついていくために、常にスキルやプロセスをアップデートする必要に迫られています。
Kubernetesの普及はコロナ禍でも伸び続け、クラウドネイティブ コンピューティング ファンデーション(CNCF)が全世界を対象に2020年に実施した調査によれば、本番環境にコンテナを導入済みの企業は1,324件の回答のうちの92%(2016年から300%増)、Kubernetesを使用していると答えた企業は91%(2018年の58%、2019年の78%から着実に拡大)にのぼります。
同様に、多種多様なアプリケーションを通じたデータ取得とデータ処理をエッジ環境で行うケースも増え続け、Kubernetesのエッジ クラスタの活用も拡大の一途をたどっています。企業のエッジ アーキテクチャにおいても、Kubernetesは不可欠な要素になりつつあります。
しかし、このような普及の急拡大の中、効率的かつ効果的なKubernetesデプロイメント実現へ向けた課題に直面する企業も少なくありません。Kubernetesのモニタリング、管理、開発のためのツールは、導入・設定に専門的な技術を必要とし、時間がかかるものがほとんどです。しかも、導入後すぐにはプロセスを自動化できないのが一般的です。
プロセスの自動化はKubernetesを導入する最大の目的の一つでもあり、開発者、DevOpsスペシャリスト、Kubernetes管理者は、Kubernetes環境を管理、モニタリング、トラブルシューティングするうえで、自動化されたシンプルなエンドツーエンドの利便性を必要としています。そのためには、さまざまなニーズに柔軟に対応できる管理ツールが必要で、ツールのためにKubernetesの適用範囲が限られるようなことはあってはなりません。Kubernetesのスケーラビリティを有効活用するには、ツールの効果的なデプロイメントも技術的な必須事項となります。
Kasten by Veeamの最新リリースKasten K10バージョン4.5は、まさにこのような課題を解決するために設計された、Kubernetes仕様のデータ保護プラットフォームです。バージョン4.5で拡充された機能には次のような特長があります。
- 多種多様なワークフローに柔軟に対応する拡張性が強化され「すぐにそのまま使える」機能性も充実
- Kubernetesアプリケーションのバックアップとモビリティの機能がエッジ環境にも拡大
- Veeam Back & Replicationとの統合も含め、エコシステム拡大を可能にする継続的イノベーション
目次
Kubernetesデプロイメントで特に重要な即効性
Kubernetesを導入する開発チームにとって、導入後すぐに環境を活用でき、システムのパラメータや健康状態についての分析情報をモニタリングできることは、非常に重要な点です。Kastenはそのニーズを十分に理解したうえで、以下のような機能をK10に組み込んでいます。
新しい指標、ダッシュボードとクラウドネイティブ ツールの拡充
Kasten K10バージョン4.5には、Kubernetes環境のデータ保護リスクとマネジメント機能を効果的に管理、モニタリング、トラブルシューティングするためのクラウドネイティブ ツールが完備されています。それらは、導入後すぐに活用でき、新規のデプロイメントでも実用化までの時間を最小限に短縮します。この可観測性と可視化にすぐれた新機能で、開発チームと運用チームの双方が(つまり、DevOpsをサポート)は次のことを実践できます。
- Kasten K10のオペレーション状況に関するインサイトを取得(各種アラートと指標をメールやSlackなど、任意の方法で設定・受信可能)
- システムの全体的な健康状態を確認
- ストレージのニーズを予測(重複排除や圧縮の適用率も確認)
- 環境に適用されているポリシー数を分析
- 実行されたバックアップ処理の成功/失敗率を確認
Amazon RDSとK8ssandraのネイティブ サポート
Kasten K10バージョン4.5では、AWSの分散リレーショナル データベース サービスAmazon RDSと、Apache Cassandra(オープンソースのNoSQL分散データベース)のKubernetesディストリビューションK8ssandra向けに、統合環境の自動検知とKasten K10バックアップ ポリシーのシームレスな適用を可能にします。導入環境においてアプリケーションとそれにともなうデータベースを自動的に検知できるのは、Kasten K10ならではの最大の特長の一つです。それによって、企業はアプリケーションのバックアップとモビリティをクラウドネイティブなワークロードに対してシームレスに実行でき、システムの保護とクラスタの可搬性を確保できます。
多様な環境に対応する拡張性を一段と強化
新しいツールがデプロイメントの管理を迅速かつ容易にすることをユーザーが願うのは当然ですが、同時にユーザーは使い慣れたツールを使い続けることや、より広範なエコシステムから最適なツールの組み合わせを選択できる柔軟性も求めています。Kasten K10バージョン4.5は、外部のさまざまなデータサービスとの統合が可能なので、ユーザーの多様なニーズに合わせたさまざまな環境ですばやく実用化できます。データサービス全般のオペレーションを容易にするシンプルで使いやすいデザインが、あらゆる環境に対応する丁寧なドキュメンテーションとともに提供されます。
同様に、Kubernetes管理者も、システム モニタリングやアラートの使い慣れたツール(DataDog、Prometheus/Grafanaなど)を単一のユーザーインターフェースで管理して作業を効率化できる機能性を求めています。Kasten K10バージョン4.5では、Kubernetesエコシステムで利用可能なあらゆるツールとの統合がサポートされ、ユーザーにとって最適なクラウド オペレーションをカスタマイズできます。
Kubernetesのエッジ環境をサポート
Kubernetesは今も成長し続けています。そのユースケースもますます多様化し、プライベート、パブリック、ハイブリッドのクラウドにまたがるデプロイメント、データセンターはもちろん、エッジ環境にまで広がっています。
近年は動画のストリーミングやゲーム、5G、さらには、Amazonや楽天などとは異なる店舗ベースの小売りビジネス アプリケーションに対するオンライン ショッピングの増加などで、エッジ環境の活用が注目されています。
エッジ コンピューティングとは、コンピューティングとデータ ストレージの位置をデータソースに近づけ、より小規模で軽量の分散型データセンターを活用するしくみです。従来の大規模データセンターに比べ、レスポンスタイムの短縮や帯域幅の節約が可能になり、エッジ アプリケーションの自立性を高めてレイテンシを激減させる効果があります。
軽量で管理コストがかからないことを特長とするコンテナ環境は、このエッジ ノード アプリケーションのデプロイメントに最適であり、エッジ環境の急速な普及は、すなわちKubernetesが活躍する場がさらに拡大していることを意味します。
エッジ アプリケーションの安全確実なバックアップとモビリティを実現
K3sとAmazon EKS Anywhereもサポート
K3s(軽量Kubernetes)とは、リソースが限られるリモート ロケーションで稼働するワークロード向けに設計されたKubernetesディストリビューションです。40MB以下のサイズのシングル バイナリにパッケージされており、インストール、実行、自動更新の手順が軽減できます。
Amazon EKS Anywhereは、クラウド環境だけでなくオンプレミスでもAmazon EKS機能を構築できるKubernetesデプロイメントの新しいオプションで、開発環境の多様化とともに今、大きな注目を集めています。
このK3sとAmazon EKS Anywhereは両方とも、エッジ環境に適した機能性を備えている点が特徴的です。Kasten K10は、単一のダッシュボードですべてのエッジ アプリケーションのデータ管理をサポートします。そして、バージョン4.5では、K3sとAmazon EKS Anywhereの実用テストを徹底的に行い、これらのKubernetesディストリビューションの完全サポートを確立しました。つまり、Kasten K10では、クラウド、オンプレミス、リモートなど、場所を問わずにデータのバックアップとリカバリをサポートし、通常と同じエンドツーエンドの機能性とサポートモデルをあらゆるユースケースに対して提供することができます。
企業は、最新のエッジ アプリケーションにリモートゆえのセキュリティ不安を抱えがちですが、Kasten K10なら、安心してデータを損失、破損、悪意ある攻撃から守ることができます。エッジ環境の革新のペースを緩めないためにも、まず鉄壁のセキュリティを確保することが不可欠です。
継続的なイノベーションでエコシステムのフロンティアを開拓
Kasten K10のエコシステムは、最先端の技術やプラットフォームとの統合を可能にしながら、常に拡大し続けています。クラウドサービス、Kubernetesディストリビューション、データベース、ストレージの各分野をリードするベンダーやプロバイダと提携し、開発ワークフローの効率化、バックアップとリカバリの強化をありとあらゆるKubernetes環境で実現しています。
ランサムウェア対策の決め手となるイミュータブル ストレージ
ランサムウェアの脅威が拡大する昨今は、データのイミュータブルなコピーを保持することの重要性がかつてないほど高まっています。Kasten K10バージョン4.0では、業界初の対ランサムウェアKubernetesデータ保護を確立し、オブジェクトロックを有効にしたAWS S3ストレージのサポートを実現しました。そして今、Kasten K10バージョン4.5でさらにユーザーの選択肢を増やし、エコシステム パートナーとの連携を通じて、より多くのイミュータブルなオブジェクト ストレージのリカバリ先に対応しています。具体的には、Cloudian、Wasabi、MinIO、BackblazeといったAWS S3対応が確認済みのオブジェクトロックを提供するイミュータブルなストレージを各種サポートしています。
VMware vSphereで実行されるKubernetesクラスタに関しては、Kasten K10はバージョン4.5でVeeam Backup and Replication(VBR v11a)ストレージ リポジトリのサポートを通じてVeeamユーザーの利便性を拡大しています。このような継続的イノベーションによって、Cisco S360、HPE Apolloサーバー、ReFSおよびXFS形式のブロックストレージ、重複排除バックアップ アプライアンス、SMB(サーバー メッセージ ブロック)ターゲットなどの新しいバックアップ保存先もサポートに追加されました。
Kubernetes環境のデータ保護は、Kubernetesの導入と同時にはじめることが重要です。Kasten K10の最新リリースを検討されたい方は、お気軽にクライムまでお問い合わせください。
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