Oracle Linux KVMでVeeamができること、できないこと(2024/6/12現在):Veeam Backup for Oracle Linux Virtualization Manager and Red Hat Virtualization


KVM環境の保護として、VeeamはRed Hat Virtualizationに対応していましたが、これのEOLに伴い、Oracle Linux Virtualization Manager(以降OLVM)によって管理されているOvirt環境のサポートも追加されました。

https://access.redhat.com/support/policy/updates/rhev

ただ、VMware環境やHyper-V環境、Nutanix AHV環境に比べて、OLVM環境のサポートはVeeamとしては後発であるため、使用できる機能に違いがあります。

脱vSphereでOLVM環境も検討されているお客様もいるかと思いますので、今回はこの対応に関してご紹介していきます。

バックアップ

メインとなるバックアップ自体は当然可能です。ただし、vSphere環境では多様なオプションが用意されているのに対してOLVM環境では利用できない機能も存在しています。

ゲスト処理:アプリケーション対応処理、ゲストOSファイルシステムインデックス、静止前後スクリプトなど

VeeamではvSphereやHyper-V仮想マシンのバックアップの際に、ゲストOS上での処理としてアプリケーション(ADやExchange、SQL Server、Oracleなど)を意識した静止処理やゲストOSファイルシステムインデックスの作成に対応しています。

しかしOLVMのバックアップジョブではそもそも、ゲストOSとの連携処理自体が未実装です。

マルウェア検出

Veeamではマルウェア検出のためにいくつかの手法を提供していますが、OLVMのバックアップに関しては利用できる手法に制限があります。

  • ゲストインデックスデータスキャン
    • VMware VM
    • Hyper-V VM
    • Windowsマシン(Veeam Agent for Microsoft Windows)
  • インラインスキャン
    • VMware VM
    • Hyper-V VM
    • Windowsマシン(Veeam Agent for Microsoft Windows)
  • スキャンバックアップ
    • Windows VM (VMware、Hyper-V 、Cloud Director 、Nutanix AHV、OLVM、RHV) 
    • Windowsマシン(Veeam Agent for Microsoft Windows)
  • セキュアリストア
    • Windows VM/マシンを下記の方法でリストア
      • VMware、Hyper-VへインスタントVMリカバリ
      • VMware、Hyper-VへVM全体のリストア
      • VMware、Hyper-Vの仮想ディスクとしてエクスポート
      • AWS、Azure、GCPへクラウドリストア

上記のように、バックアップ時に実施されるインデックスのスキャンやインライン処理には対応していません。

スキャンバックアップには対応していますので、OLVMバックアップ内に感染したデータが含まれていないかどうか定期確認するには、SureBackupでスキャン(YARAルールまたはウィルス対策ソフト)するように構成が必要です。

※SureBackupは元々は隔離ラボ環境にバックアップからVMを起動して、検証する機能ですが、現在はこのVMの起動を行わずに、スキャンバックアップのみを定期実行するようにも構成できます。

その他詳細設定

バックアップジョブで設定できる以下のような設定やソースからのデータ読み取り速度をレイテンシで自動調整するバックアップI/Oコントール機能などにも対応していません。

  • ジョブ優先度設定
  • ジョブ個別通知(グローバル通知は可能)
  • ジョブ前後のスクリプト実行
  • ブロックサイズと圧縮レベルの変更(1024 KB、Optimalレベル固定)
  • ジョブ単位の暗号化設定(リポジトリ単位では可能)
  • 等々

OLVMバックアップジョブのAdvanced設定

vSphereバックアップジョブのAdvanced設定

データ保持ポリシー(2次バックアップやテープアーカイブ)

バックアップをどのように保持するか、どこで保持するかといった構成を行うための機能に関しては特に制限はありません。

リポジトリはディスク(Windows/Linux)、堅牢化リポジトリ(Linux強化リポジトリ)、NAS(SMB/NFS)、重複排除ストレージアプラインス、オブジェクトストレージ、スケールアウトリポジトリから選択でき、バックアップジョブでのGFS設定による長期保持やバックアップコピージョブ、バックアップtoテープジョブも同様に利用できます。

リストア

OLVMのバックアップを以下の方法でリストアできます。

  • OLVMへのVMリストア、仮想ディスクリストア
  • Nutanix AHVへのVMリストア
  • vSphere、Hyper-V、Nutanix AHVへのインスタントVMリカバリ
  • Windows/LinuxゲストOSファイルリストア
  • アプリケーションアイテムリストア
    ※バックアップジョブでゲスト処理を設定できないため、使用できますが、自己責任扱いです。
  • Amazon EC2、Azure、Google CEへのクラウドリストア
  • VMware、Hyper-V仮想ディスクへのエクスポート
  • 仮想ディスクのパブリッシュ

またOLVM環境へのリストアはOLVMのバックアップでのみ対応しており、vSphere VMやHyper-V VMのバックアップをOLVMの仮想マシンとしてリストアすることはできないことに注意してください。

OLVMのバックアップをリストアする際の選択肢

vSphere VMをリストアする際の選択肢

まとめ

このようにまだまだ対応してない機能も多く、vSphere VMからの移行自体にはVeeamを活用することが難しいといったところが正直な現状です。

しかし、エージェントレスでバックアップを行え、取得したバックアップに関しては他のバックアップと同様に2次バックアップ等を構成できますので、既にVeeamをご利用の場合にはOracle Linux Virtualization Manager環境の保護にVeeamを活用いただくといった点は問題無くご利用いただけるかと思います。

また、先週に開催されたVeeamON 2024で今後のサポートとしてProxmox VEが発表されており、こちらの場合、vSphere VMやHyper-V VMのバックアップをProxmox VEへインスタントリカバリするといった点にも対応を予定しています。

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  1. climb のコメント:

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    対 象:
    ・oVirt環境をご利用の方
    ・VMwareからの移行をご検討中の方
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