過去にはリストアポイントシミュレータという名前で、バックアップサイズの概算を行うツールがコミュニティリリースといった形で公開されていましたが、現在、そちらは公開停止され、新たに開発元Veeam正式ツールとしてCalculator 1.1がリリースされました
https://community.veeam.com/calculator-commons-151/calculators-1-1-released-8220
これにより、VMのバックアップ以外にもレプリケーションやNASなど非構造化データのバックアップサイズの概算なども行えるようになっています。
https://www.veeam.com/calculators/simple/vbr/machines/vm
今回はこのCalculator 1.1でなにをサイジングできるのか紹介しています。
また、弊社Veeam情報局にてより詳細な各パラメータの解説を行っています。現在はVMバックアップのみですが、他のバックアップなどに関しても追加予定です。
目次
Data Center
Veeam Backup & Replicationを用いてバックアップ可能な環境のサイジングを計算できます。ただし、仮想環境のバックアップとレプリケーションについては、基本的にvSphere環境であることを前提としています。
Hyper-VやProxmox環境の仮想マシンバックアップに関しては流用できない部分がないこともないですが、アーキテクチャ等をご理解いただいたうえで参考にしていただく必要があります。不明な部分あれば弊社までお問い合わせください。
https://www.climb.co.jp/soft/veeam/contact
Machine
仮想マシンやAgentでの物理マシン保護に関するサイジングです。
VM Backup
vSphere VMバックアップに関するサイジングです。日次でジョブを自動実行し、合成フルバックアップを週次に作成するスケジュールでのサイジングを前提としています。
サイジング結果として、リポジトリで必要になる容量やオブジェクトストレージリポジトリで発生するAPIリクエスト数、バックアッププロキシやリポジトリで必要となるリソースを確認できます。
Agent Backup
Veeam Agent for Microsoft WindowsでWindowsマシンをバックアップリポジトリへバックアップする際のサイジングであり、VMの場合と同様に日次でジョブを自動実行し、合成フルバックアップを週次に作成するスケジュールでのサイジングを前提としています。パラメータとしてはVMの場合とそこまで差はありません。
サイジング結果もVMの場合とほぼ同様です。Veeam Agent for Microsoft Windowsの場合、バックアッププロキシなしでAgentインストールマシン自体がデータ処理するか、ストレージスナップショットと連携し、オフホストプロキシでデータ処理するので、その部分の項目名が変わっています。
VM Replication
vSphere VMのレプリケーションを行う際のサイジングです。レプリケーション先で複製VMを作成し、スナップショットで世代を保持する仕様であるため、バックアップほど、パラメータを設定する必要はありません。
保存先のデータストアに必要な容量、ソース、ターゲットのプロキシとしてどれだけのリソースが必要か、バックアップウィンドウ内に完了するにはどれだけの帯域が必要かが計算結果として表示されます。
CDP Replication
vSphere VMのCDPレプリケーションに関するサイジングです。データサイズに関するサイジングではなく、どれだけのリソース、帯域が必要かを計算しています。
データサイズに関してはVM Replicationのサイジングを参考にしてくだし。
どれだけの帯域が必要か、CDPプロキシとしてどれだけのリソースが必要か計算結果として表示されます。
Unstructured
非構造化データ(ファイルやオブジェクト)のバックアップに関してサイジングできます。
NAS
ファイル共有(SMB/NFS)のバックアップに関してサイジングできます。
計算結果として容量以外にもNASバックアップで必要となるプロキシやキャッシュリポジトリなどのリソースも確認できます。
Object Storage Backup
オブジェクトストレージ上のデータをバックアップする際に必要な容量やリソースをサイジングできます。
計算結果として容量以外にもオブジェクトストレージのバックアップで必要となるプロキシやキャッシュリポジトリなどのリソースも確認できます。
File to Tape
Databases
Veeam Plug-inを用いたデータベースのバックアップについてサイジングできます。イメージベースバックアップの一部としてデータベースをバックアップする場合にはVMやAgentバックアップを参照してください。
Veeam Plug-inでは、Oracle(RMAN)、MS SQL、SAP HANA、SAP on Oracle、DB2をバックアップ可能です。パラメータ等は同様です。
バックアップのサイズやプラグインをインストールしたマシン上でどれだけのリソースが必要かといった点をサイジングできます。
Tape
テープを保存先とするジョブで必要となるリソースを計算できます。
Backup to Tape
Veeamが作成したバックアップをテープへバックアップするジョブで必要となるリソースのサイジングを行えます。
どれだけテープメディアやドライブが必要になるかテープへ書き込みを行うサーバで必要となるリソースなどが、計算結果で確認できます。
File to Tape
バックアップに限らず、Veeamに登録されたWindow、Linuxマシン、SMB、NFSファイル共有、NDMPサーバからファイルやフォルダをテープにアーカイブする際のサイジングが行えます。
アーカイブされたファイルに関する情報を、Veeamバックアップサーバの構成DBで管理するため、データベース用にどれだけの追加リソースが必要かといった点も計算結果で確認できます。
SaaS
SaaS上にあるデータのバックアップに関するサイジングです。
M365
Veeam Backup for Microsoft 365でMicrosoft 365上のデータをバックアップする際のサイジングが行えます。
バックアップに必要な容量や、管理サーバ、バックアッププロキシのリソース、オブジェクトストレージへのリクエスト数を確認できます。
SFDC
Veeam Backup for Salesforceでのバックアップをサイジングできます。
Veeam Backup for SalesforceはPostgreSQL上でバックアップデータを管理しますので、それに必要なデータベースサイズや添付ファイルを保存するためのストレージ容量を計算結果で確認できます。
Public Cloud
Veeam Backup for Microsoft Azure、Veeam Backup for AWS、Veeam Backup for Google Cloudでのバックアップをサイジングできます。ただ、これらに関しては環境でインストールすると、バックアップ前に組み込みのコスト計算機でコストを確認できるため、より詳細な値はそちらを参照することを推奨してます。
Google CloudのみFilesの項目がありませんが、ほぼパラメータは同様です。
管理マシンとしてデプロイするアプライアンスのインスタンスサイズや、各リソースのバックアップで必要な容量などを確認できます。
Monitoring
Veeam ONEでの監視時に必要なリソースをサイジングできます。
Backup Infrastructure
Veeamのバックアップ環境を監視する際のサイジングです。Veeam ONEではVeeam Backup & ReplicationとVeeam Backup for Microsoft 365を監視できます。
計算結果としては監視データを保持するデータベースのサイズのみです。リソースに関してはシステム要件を基に決定する必要があります。
Virtual Infrastructure
仮想環境を監視する際のサイジングです。Veeam ONEではVMware vSphere、Microsoft Hyper-V、VMware Cloud Directorを監視できます。
同様に、計算結果は監視データを保持するデータベースのサイズのみです。リソースに関してはシステム要件を基に決定する必要があります。
まとめ
このように幅広い環境をサイジングできるようになりましたが、特定の構成のみであったり、計算できるものがまだ少ないものもあったりと、不足している部分もあります。また、どのような計算を用いているのかもこちらでは確認できません。
クライムまでお問い合わせいただければ、サイジングに関してより具体的な相談も可能ですのでVeeamをご検討いただく際には是非お問い合わせください。
https://www.climb.co.jp/soft/veeam/contact
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