実行しているハイパーバイザの種類(VMware、Hyper-Vなど)に関係なく、あらゆる仮想環境でバックアップは必要です。あらゆる障害シナリオに、効果的に対処することができるルールの一つに3-2-1バックアップルールと呼ばれるものがあります。この手法は、「いくつのバックアップファイルをどこに保存すべきか。」といった二つの重要な疑問に対する回答に役立ちます。
3-2-1バックアップルールは、下記の三つのルールを意味しています。
・ 少なくとも3つのデータのコピーを保持
・ 2つの異なるメディアにコピーを保管
・ 1つのバックアップコピーオフサイトに保存
少なくとも3つのデータのコピーを保持
3コピーとは、本来のデータに加え、少なくとも二つ以上のバックアップファイルを持つ必要があることを意味しています。
なぜ、一つのバックアップでは不十分なのでしょうか。
デバイス①に元のデータを保持し、そのバックアップをデバイス②に保存していると考えてみてください。両方のデバイスが同じ特性を持っており(共通の故障原因がないとする)、それらで発生した障害は独立して互いに影響を与えないとします。例えば、デバイス①が1/100の確率で故障する場合(デバイス②も同様)、下記が両方のデバイスが同時に故障する確率です。
1/100 × 1/100 = 1/10,000
次に、デバイス①に元のデータを保持し、二つのバックアップをデバイス②とデバイス③それぞれに保存しており、さらに全てのデバイスが同じ特性を持ち、共通の故障原因がない場合、三つ全てのデバイスが同時期に故障する確率は下記になります。
1/100 × 1/100 × 1/100 = 1/1,000,000
複数のデータのコピーを持つことは、災害時にデータが失われるリスクが軽減されることを意味します。要するに、データが重要であるならば、少なくとも二つのバックアップコピーを作成してください。
2つの異なるメディアにコピーを保管
上記のセクションでは、全てのデバイスが共通の原因で故障することがないと仮定しましたが、元のデータと同じ場所にバックアップを保存している場合、この仮定が実現することはありません(例えば、同じRAIDからディスクが独立していない)。さらに、1つのディスクで問題が発生した後、同じ時間帯に同じストレージのもう1つのディスクで問題が発生することは稀なことではないでしょう。
3-2-1ルールは、内部ハードディスクドライブやリムーバブルストレージメディア(テープ、外付けハードドライブ、USBドライブ、SDカード、CD、DVD、あるいはフロッピーディスク)、または異なる場所にある2つの内部ハードディスクドライブのような、少なくとも2つの異なる種類のストレージにデータのコピーを保存することを提案します。
1つのバックアップコピーオフサイトに保存
バックアップコピー同士の物理的な分離が重要です。本番ストレージと同じ部屋に外部記憶装置を保持するのは本当に良い考えとは言えません。火災が発生したときなどに、全てのデータを失うことになります。
リモートサイトや支店を持っていない中小企業に勤めているのであれば、クラウドにバックアップを保存することも選択肢の一つかもしれません。そして、オフサイトにテープで保存することが、まだ様々な企業の間で人気があります。
3-2-1-0バックアップルール
3-2-1ルールはとても一般的であり、個人・法人、物理・仮想環境で使用できます。
Veeamを使用して、VMware/Hyper-V環境のバックアップをする場合、このルールは3-2-1-0バックアップルールとなります。この0は0エラーを意味し、VeeamのSureBackupで全てのバックアップの自動回復検証を行います。
Veeam Backup & Replicationは3-2-1バックアップルールの要件を満たす機能を備えています。
・ 少なくとも3つのデータのコピーを保持
VMware/Hyper-V仮想マシンのいくつかのバックアップを作成するためにバックアップジョブを設定します。
・ 2つの異なるメディアにコピーを保管
Veeamは、テープ、ディスク、クラウドなどをサポートしており、ストレージに依存しません。
・ 1つのバックアップコピーオフサイトに保存
内蔵のWANアクセラレーションを使用して高速にバックアップをオフサイトに転送するためのバックアップコピージョブの設定や、バックアップをMicrosoft Azure、Amazon Glacier、Google Cloud Storageなどのパブリッククラウドへ保存するために、Veeam Backup for AWS, Veeam Backup for Azure, CloudBerry(MSP360) Backup などを使用します。
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