Apple社Q3の売り上げ・純利益がともに過去最高を更新したことがシリコンバレーでも話題
になっている。
6月に発売されたiPhone4の貢献は大きく、iPhone事業が全社の43%の売り上げを占めて
いるそうだ。 GoogleのAndroidプラットフォームOSの伸びもすごい。
2009年2Qには1.8%だったMobile PhoneのOSマーケットシェアにおいて、
1年後には17.2%となり業界3位になった。
これらの躍進はユーザーが自由にダウンロードできるアプリと呼ばれるソフトの貢献度を
否定する人はいないだろう。
Appleの時価総額がMicroSoftを超えたこともあって、バレーの住人達は次の戦場が
PCからSmartphoneに移りつつあることを実感している。
iPhoneの前・後でITのみならず大きな変化がスマートフォンのコアになるチップを
提供する半導体産業にも、起こりつつある。
最終製品のマーケットでの競争力を高めるのがハードウエアからソフトウエアに変化しつつ
あるのだ。 もちろんある一定基準以上に高速で動作して、低消費電力を実現している
ハードウエアを提供する必要はあるが、それ以上に大事なのは、その半導体で
作られた製品にどんなソフトウエアが乗せられるのか? ということ。
さらにそのソフトウエアの開発をいかに早期におこなえるか。
以前はハードウエアである半導体が出来上がってから、ソフトウエアを開発していた
サイクルをハードウエアの開発と同時に、またそれ以前に行いたいと需要が大きくでてきた。ソフトウエアを早期から開発しやすくできる半導体に価値があるのだ。
もうひとつの変化はビジネスモデルの変化。
iPhoneアプリや音楽のダウンロードがすべてを変えてしまった。
ハードウエアの開発費用を電話の通信キャリアが通信費で回収するのみならず、
Apple自身もアプリや楽曲のダウンロードが行われれば一定の利益を安定して
稼ぎ出すことができる。
またアプリを開発するソフトウエアエンジニアには誰でもソフトを開発できるSDK
(Software Development Kit)を提供し、値段も開発者自身で設定でき、
売り上げが彼らにもきちんと入るパスを確立している。
iPhone, Androidともに膨大なアプリの件数で、いかに彼らにモチベーションを
与えているかが容易にわかる。
ビジネスの上でのモチベーション、即ちゲインシェアをうまく使ったモデルが
Smartphoneのソフトウエアビジネスでは成功している。
膨大な開発費用がかかる今後の微細加工技術を追求しそこで成功していくには、
半導体産業にもゲインシェアを使ったモデルの登場が必要なのかも知れない。