『海賊版』

創立以来の最高業績を更新中のApple incだが、その株価だけでなく、今回は中国で
のAppleStoreの偽者が出たことがバレーでニュースになっている。
Apple Incが正式に中国に出店しているAppleStoreは上海と北京にそれぞれ2店舗の合
計4店舗のみだが、中国雲南省昆明市などに偽者のAppleStore合計5店舗が出現したの
だという。(現在そのうち2店舗は閉鎖。)
その偽物のAppleStoreだが、外見から中身、そして店員のユニフォームにいたるまで
巧妙に本物のAppleStoreがコピーされており、勤めている店員も偽AppleStoreに働い
ているとは知らずに騙されていた店員もいるというから驚きだ。

店員によると、ストアで売られている製品は全てAppleの純正製品であり、販売価格も
Appleオンラインストアの値段と同じだという。
中国国内のあちこちにAppleの正規品、模倣品を問わずに販売している非正規のリ
セーラーが溢れ返っていることを考えると、今回の欧米メディアに報道された偽
AppleStoreは氷山の一角でしかない。

外見ばかりでなく、機能や性能も模倣するのが難しいハードウエアでさえこの現状、
コピーが比較的簡単にできてしまうソフトウエア業界の被害は甚大だ。
 BSA(Business SoftwareAlliance)のレポートによれば2010年度のソフトウエアの
海賊版によるPCマーケットの被害は前年比14%増加、市場価格規模では
US$59billion(4兆6000億円)にも及ぶという。

しかしながら簡易にコピーができ販売も容易な一般市場向けのPCソフトウエア自体の
マーケットの伸びが鈍化、一部マーケットではその市場サイズが減少していることか
ら、海賊版として狙われるソフトマーケットもB2B向けソフトや特定市場向けの設計
ソフトなど、ソフトウエアの販売数は少ないものの、一本あたりのライセンス料が高い
ものに移行してきているという。
なかでも、CAD(Computer Aided Design)、CAM(Computer AidedManufacturing)、
PLM(Products Life Management)などのビジネス向けのEngineeringソフトウエアなど
で急速に被害が出てきているという。

業界内の予測によると現在でも年間に$1billion(790億円)程度が非正規のコピーが
売られており、今後3年の間に$4billion(3160億円)まで広がるという。
たちの悪いことに、使っているユーザーは非正規のソフトウエアとも気が付いてい
ないケースも多々あるという。
というのは、近年ソフトウエアをオンラインで購入するケースが増えていることにつ
けこみ海賊版ソフトウエア販売拡大を狙う不正業者は専門のサイトを立ち上げ、正規
販売ディーラーと見分けが付かないように精巧にサイトのみならず、ダウンロード方
法からライセンスほ発行方法までを真似ているのだ。

ユーザーから見れば、中間マージンをとられてしまう、代理店などを通じてソフト
ウエアを購入するよりも、オンラインにてGlobalなサイトからソフトウエアを購入す
る自由ができた代わりに、海賊版に引っかかってしまうリスクがでてきてしまったと
いうことだろうか。
ベンダー側はこれらの海賊版コピー販売を防ぐために、ソフトウエア自身のコピー
プロテクションの強化、ライセンス形式の複雑化、などに加えてソフトウエア自身に
AutomaticAudit (定期的にネットワークを通じてベンダー側サーバーと通信などを
行う)機能などを入れ始めているという。

ユーザーによっては、設計やデーターの守秘から、こういった通信機能を好まないこ
ともあり、海賊版を予防する決定打を見つけることは、ソフトウエア業界にとっては
非常に難しい問題のようだ。

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