『自動運転』

知人が手にいれた車に乗る機会があった、HONDAのレジェンドだが、ACC
( Active Cruise Control )にLKAS( Lane Keep Assist System)が付いていた。 
ACCは従来のオートクルーズと違って、前方の車の速度が落ちると車間をキープして
自車の速度も同様に減速、前車の速度が再びあがると、それに合わせて自車の速度も
設定速度まであがり安全に車間を保ったまま安全に車が走る。 

LKASは車が走行中の車線を認識し、車線の中心に車が走るようにハンドルのアシストを
行ったり、車線から外れそうな場合にはアシストとアラームをならす仕組みだ。 
もちろん大きなRの緩やかなカーブしか車はアシストしてくれないが(安全対策と市場の
自動運転に対する反応をみる実験期間?)、筆者の住むシリコンバレーを南北に縦断
しているハイウエイ101であればSF空港からサウスベイまでの30マイル程度には緩やかな
カーブがあるもののほとんどが真っすぐな区間も多く、ACC, LKASをともにセットした状態
であればハンドル操作やアクセル、ブレーキ操作をドライバーがほとんど行うことなしに
車は安全に走り続けてくれる。 (LKASにはドライバーがハンドルに触れていなければ
作動しない安全機構があるので、ハンドルから手を離すことはできないが軽く握っている状態
を作っていれば、あとは車がステアリング操作も行ってくれる) 

DARPA (国防高等研究計画局)によるグランドチャレンジ2005でStanford大の
自動運転車が巨大なレーダー、センサーとそれらを解析する大きなコンピューティングパワー
を詰めコースをフィニッシュしてから10年弱で、各自動車メーカーは自動運転技術
をすすめ、自動運転車をメディアに発表している。 
そして市販車にも衝突回避機構やACC. LKASのように技術の一部がフィードバック
されはじめている。 

かつてはトランク一杯をしめていたスーパーコンピューターと同等の処理能力を持つ自動運転
の制御システムは急速に小型化され、CESで発表されていたAudiの自動運転システム
zFASはnVidiaが1年でタブレットサイズまで小型化することに成功。 250m先の交通状況
をとらえる長距離レーダー、80m先までの高精細画像を取り込むレーザースキャナー、
夜間に歩行者や動物を認識する赤外線カメラ、車の周辺の障害物情報をあつめる超音波
センサーなどから得られる情報をリアルタイムで処理できる。  

スマートフォンでガレージから車を自動で出してきたり、縦列駐車を車自身が行って
くれたり、目的地までの自動運転はもとより、移動中の渋滞時にも車自ら速度を調整して
ドライバーの負担を最小限にしながら道路標識を認識して走るのだ。 
自動化運転に使う技術革新には zFASのようなコンピューティング技術は各種センサーを
小型化し、安価に大量に生産する半導体技術が不可欠であり、回復の機会を狙う日本の
大手半導体メーカーにとっては追い風にもあるだろう。  
家をでたら、車がガレージからでてご主人の好きな音楽をかけて、車内の空調温度を整えて
まっている。 今日の目的地にスケジュールに間に合うよう時間通りに到着する。 
そんな将来も意外と近そうだ。 

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