『ネット社会のプライバシー』

先日、Facebookが68万人の特定ユーザーに対して心理実験を意図的に2012年に
行っていたことがある研究者の発表により明るみにでて、ユーザーに対するプライバシーが
大きな議論となった。 
被験者に実験に参加している事実を伝えることなく、特定被験者にフィードされる投稿を
意図的にコントロールして、被験者からデーターを集めて、感情が人に無意識に伝染する
結果を論文として発表した。 
この実験を行う際に、ユーザーに対しては一切の説明はなく、被験者は自身のフィードに
対する投稿やFB上でのアクションが実験データーとして使われていることを
知らなかった。 
Facebookはユーザー登録時に、全ユーザーが同意するデーター使用に関するポリシー
を理由にFacebook側がユーザーを実験の被験者に使う権利があると主張している。 

デートマッチングサイトのOKCupidはOKtrendsという同社が運営するデーター分析
サービス会社を使って、過去に同社がサイト上のユーザーを使ってデートに関する実験を
行い、その結果を同社のブログ上に公表した。 プライベートポリシーでFacebookを
批判しているユーザーにソーシャルメディア上では、ユーザーを使って実験するのは
当たり前と主張し、真っ向から挑戦しているようだ。   

OKCupidの実験は、サイトに投稿される写真で相手がどのように影響を受けるのか
調べるために、意図的に相性がよくないとされる男女ペアを抽出し、その二人には
それぞれ相性がよい相手として紹介を行い二人が上手くいくかどうかを調査した。 
(OKcupidでは相性を%でユーザーに知らせているが、実際には30%のペアに対して
相性が90%と虚偽の情報を伝えて、メッセージから会話に繋がる比率を比較した)
OKCupidのケースもFacebookと同様に、プライバシポリシーとして、ユーザーがサイト上
で行った内容については ”OKcupidが集められた情報として、サービス、製品、
コンテンツの利用状況として研究分析に使われることがあります” と書かれている。 

OKCupidのケースでは意図的に相性を事実と変えてユーザーの反応を見たから
問題なのか? 
Facebookは事実は変えていないが、ユーザーに見える情報を意図的に操作して、
Facebookが必要な情報だけを得ようとしたから問題なのか?  
ネット上の広告や、ネット系のゲームでは、直前のユーザーの反応を見て、
ユーザーの興味を引き易い広告を出したり、ゲームに必要なアイテムをコントロール
することは周知の事実でもある。 
GoogleのGmailを使っているならば、メールの中身と関連する広告が画面上部に
現れることを体験した人も多いだろう。

オンラインゲームであれば、特定ユーザーのゲーム内容をライブで変えて、
敵を倒すことを諦めるタイミングはいつか?
敵を倒すためにアイテムを購入しやすい金額はいくらくらいか?
これらをビックデーターから抽出することは容易で常に行われているという。
インターネット上のサービスでマスが大きいものほど、サービスを提供している側と
ユーザーの間でプライベートとユーザーのデータを使用することを認めるポリシーの
議論は当分続きそうだ。 

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