『サンフランシスコの家賃急騰』

新しいスタートアップビジネスがシリコンバレーの中心から、SFに移動しだしたこともあり
ここ数年はSFへの人材の流入が激しい。 特にサンフランシスコシティが開発に力を
入れていたSOMA地区。 
オフィスビルだけでなくレジデンシャルアパートメントもかなりの数が建てられているが
それでも、住宅の供給不足の様子で市内の住宅用アパートの家賃が異常な高騰を
続けている。 
Priceonomicsの調査データによるとSF市内では1ベッドルーム(1LDK相当)の
月額家賃が一番高いエリアはMarket Stのベイブリッジ寄りの
Financial Districtで平均家賃が$3600、Market St.の南のSOMA地区で$3359、
SF市内全体の平均値でも$3120という異常な状況。 
2ベッドルームならば$4000, 3ベッドルームなら$4795というのが平均家賃とは
信じ難い水準になっている。

確かに過去2、3年はSFベイエリア全域で景気の上昇に合わせて家賃も上がってきたが、
SF市内はその中でも特別で、2011年から3年間での上昇率を見ると市内の
調査箇所36のうち8のエリアで上昇率が50%を越え、トップのBernal Heightsエリア
に至っては101%だった。 
たった3年の間に家賃が倍になってしまうなんて、高騰とはいえ、度を越えた事態だ。 

家賃が高い地区を見ると、昔からSanFranciscoを知る人は少し驚くかも知れない。 
以前よりステータスが高く、よい住宅街として知られていた地区よりも、
以前であればあまり治安もよくないと言われていた地区の方が家賃が高くなってしまった
傾向がある。 
いくつかの要因があるが、一つはSfシティの開発計画による。 
治安が悪いとされた古いエリアを積極的に新しい町として再生できるよう企業の誘致
とともに新しい住宅を建設する開発計画が実行された結果であろう。 
また、治安が悪かったエリアが高速道路などのアクセスが良かったことも幸いしている。 

ここ数年大きく雇用を生み出しているハイテク企業、Google, Apple, Facebookなど
はシャトルバスをこれらエリアをカバーするように配備し、社員に足を提供している。 
朝、晩の通勤時間帯にこれらの企業のシャトルバスを高速道路で見かけるのはもはや
日常となっている。 

社員達もバスの移動中にはNetwork環境が提供されているので、仕事をスタートすることも
でき、車を自身で運転し高速道路上で一時間以上も自身の時間をロスするよりも
ずっと効率的だ。 

とはいえ、ここまで家賃が上がると、いくらハイテク企業とはいえ、彼らの賃金の上昇率を
越える形で家賃が上昇してしまい、昨今ではこれらのエリアを諦めてSF市内、
ベイエリアを離れる人も出始めているという。 ベイエリアの中心から少し離れたエリアに
住居を移し、通勤は週に1、2度必要なときだけ行い。
あとはビデオ会議やカンファレンス、それにインターネットを通じて会社のネットワークに
入り自宅から仕事をするというホームオフィススタイル。 
住宅の家賃上昇が落ち着かない限り、この傾向は暫く続くかも知れない。 

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