井から飛び出した蛙(かわず)達

最近ビジネスを成功に結びつける方程式が通じなくなりつつあるとのエコノミストのレポートもあるシリコンバレーだが、グローバルなエンジニアを目指す日本の若い人たちにとってのシリコンバレーの輝きは以前にも増しているようだ。
ITFrogsというグループのシリコンバレー訪問にお邪魔する機会を得た。ITFrogsとは沖縄県に暮らす、将来起業をしたい、または起業に係わりたいという若者を沖縄県、それにNPO法人2組、沖縄県内にあるIT企業7社がサポート しているグループ。 昨年度に続いてシリコンバレーへの訪問は今年で2回目になるそうだ。文系、理系を問わずメンバーを公募した中から、選抜をくぐりぬけた8名の若者(年齢は18歳~21歳)がシリコンバレーの企業見学をしながら研修を行う。彼らと会ったのは、バレー滞在6日目の夜となった。 IT系の企業を見学しながら合間には彼ら自身が研修を通じて完成させなければならないAndroid携帯に乗せるアプリの開発を行っているという。 今回のバレー訪問の数ヶ月前からアプリの企画アイデアからスタートし、バレー訪問の間にも思いついたイメージやビジネスプランも具体化して いきながらAndroidで動作する独自のアプリ開発の完成を目指すという。ITに興味があるというだけではなく、彼らが育った沖縄にそういうビジネスを立ち上げたいという強い思いが感じられた。話をきくと、沖縄出身の先輩達がいざ学校を卒業して就職となると、どうしても県外にいかざるを得ない状況を肌で感じていたバックグランドもあるようだ。総務省統計局 『社会・人口統計体系』 (2008)によると、沖縄県の県外就職率は全国でも3位。
千葉県 34.8%埼玉県 32.4%沖縄県 32.4%
そんな彼らにとっては、ソースコードを公開し、搭載されるアプリの開発が誰でもできるAndroidプラットフォームは宝の山であり、腕試しの場でもあるのだろう。自分達が考えたアプリの話になると皆、目の色が変わる。
日本ではシリコンバレーにあるようなベンチャーは生まれにくいとよく言われる。様々なコンサルタントの分析や論文があるが、そんな中で原因のひとつにAttitudes,個人の姿勢や考え方が大きく違うと指摘するものがある。チャレンジして失敗することよりも、リスクをさけて安定して成長する方向を選ぶのがステレオタイプの日本人ということになってしまうのだろう。シリコンバレーで10年以上のキャリアをもつ我々との会談の中での彼らの積極的な態度や質問を通じて、若い世代は確実に、古いステレオタイプの日本人から脱出しつつある ことを感じた。 IT業界の蛙、是非いろんなところに飛び出して活躍していってほしいものです。
http://www.it-frogs.jp/

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