昨年くらいからSF周辺では二つのライドシェアサービス会社のビジネスが急速
に拡大している。ピンクのヒゲをシンボルにしているLyftと、日本にも進出し
たUberだ。もともとはUberがベイエリア周辺で行っているリムジンサービスの
空車をつかって始めたサービスだが、最近はリムジンの空車よりも車を持ち込
みでカスタマーをピックアップするサービスがメインとなっている。(自分の
車を持ち込んで、カスタマーに送迎サービスを提供する、日本で言うといわゆ
る白タクのようなもの)似ているサービスの2社間では激しい競争が繰り広げ
られており、料金の値下げや、ドライバーに対してコミッションを取らず、ド
ライバーの獲得競争が起きたり話題になっている。両者ともに、今後のビジネ
ス拡大の期待は大きく、今年4月にLyftには250億円の投資が入ると、6月には
Uberに対して1200億円もの投資が入った。
そんな中、SFに出かけた際に始めてLyftを利用する機会があった。まず、Lyft
が提供しているアプリーケションをダウンロードして立ち上げる。ユーザー登
録の際にクレジットカードの登録が必要だが、あとは必要な情報を入力するだ
け。Facebookと連携しているので、そちらでログインすれば追加情報の入力は
ほとんど必要ない。早速利用してみるとLyftのアプリケーション上に周辺の地
図が現れ、自身の位置に風船マークがまた、周辺のLyftサービスを提供してい
る車が何台も現れる。 画面横にはそれらのドライバーが現在地まで現れる予
想時間が3分などと表示される。 現在の位置で車に拾ってもらいたいならば、
そのままの状態でRequest Lyftのボタンをクリック。 他の位置でのピックア
ップが希望なら、その位置まで風船マークを動かすだけ。Request Lyftのクリ
ック後には、目的地がどこかを聞いてくるので、地図上でクリックまたは住所
などを打ち込んでリクエストの作業は終了。あとは周辺を走っているLyftサー
ビスの車の中から一台が選ばれる。(この際にドライバー側のアプリケーショ
ンには、カスタマーがある場所でピックアップを待っていることが告げられ、
ドライバーがピックアップするかどうかを決めるのだが、ドライバーはこのカ
スタマーがどこまで行くかを知る事ができない。これは長距離のカスタマーだ
けをピックすることがなく、短距離であってもカスタマーに車を最短で届ける
Lyft側の工夫のようだ)
ドライバーがLyftのシステム内で選ばれるとすぐさまアプリ上にドライバーの
プロフィール写真とサービスに向った車の写真が送られ、到着時間はあと何分
と表示された。と同時にドライバー側にはカスタマーのプロフィール情報と目
的地が送られてドライバーが使うナビアプリに自動的に目的地の設定が行われ
る。2分後に現れたドライバーは、僕を見つけると、Facebookのプロフィール
情報から得られた僕の名前を呼び車の助手席に座るように手で合図。タクシー
が来たというよりは、ちょっとした知り合いが車で目的地まで送ってくれる感
覚だ。このドライバーは面白いことに、2台の携帯電話を使いLyftだけでなく
Uberのサービスも供給しているとのこと。空車の際には2台の携帯がそれぞれ
LyftとUberからのサービスがないかスタンバイしていて、どちらかのカスタマ
ーをピックすると、それ以外の携帯の電源をカスタマーをドロップするまで切
っておくのだそうだ。結果として、彼の場合には働いている時間の80%程度は
次々に客をピックアップできるそうだ。
車内では、Lyftのサービスについていろいろ聞いてみると、とてもフレンドリ
ーに回答してくれた。タクシーとは異なり、カスタマーとなるだけ会話してフ
レンドリーに過ごしてもらうというLyftのコンセプト通りだ。目的地に着くと、
ドライバーはアプリにカスタマーを届けたことをレポートして、サービス終了。
ドライバーとカスタマーの間では料金の受け渡しなどは一切ないままに車は立
ち去って行く。カスタマーには、このドライバーに対する評価のアンケート付
きのレシートが送られてくる。受け取って料金にびっくり!チップも含まれて
いて通常のタクシー利用の料金の半分以下だった。しかも、今回始めて利用し
たカスタマーにはLyftクレジットがプレゼントということで、支払いはなんと
$0だった。タクシーやリムジンのように固定資産である車を所有したり、ドラ
イバーを雇ったりする必要がないので、利用料金は安いのだろうと想像してい
たが、ここまでとは。ドライバーも言っていたが、SF市内ではLyftとUberのお
かげでタクシーを利用する人が急激に減っているそうだ。呼んでからの待ち時
間もほとんどなく、料金も安いならばあえてタクシーを使う理由が見つからな
いだろう。タクシーの運転手も会社を辞めて、自分の車を使ってLyftやUberの
サービスに登録している人が増えているそうだ。ビジネスチャンスはどこに転
がっているかわからないものだ。
提供:Hiro Minami