『Dropcamに見る日米ビジネスの違い』
アメリカマーケットでDropcamという商品がヒットしている。
インターネットに繋がるいわゆるWeb Cameraのひとつ。 市場には沢山の
Web Cameraがあるが、その中の一つの製品。
HDクオリティの動画を撮影可能だが、カメラのズーム、パン、など市場にある
ハイエンドのサーベイランスカメラができるような機能はついていない。
Dropcamは無駄な機能や無駄なデザインを排除し
あくまでもコンパクトでシンプルな作りに徹底している。
カメラ本体には撮影した動画や静止画を保存するメモリカードもなければ
内蔵のメモリもなく、ミニUSBのコネクターが一つあるだけ。
説明書もなく、中にはシンプルなカードが一枚だけ。
イラストと簡単な文章でカメラの設定方法が書かれている。
イラストに従って、カメラ本体にUSBのケーブルを差し込み、反対側を
PCに接続する。
これによりカメラがPCに認識されてまずはWifiの設定。
それが終わるとDropcamのアカウント作成を行うだけ。
アカウントを作成したメールアドレスに確認のメールがくるのでそれに返信すれば
カメラを使う準備は全て終了。
USBケーブルをPCから外して、そちらに付属のACコネクターをつければ、
これがカメラの電源供給ラインとなる。
カメラを設置したい場所において、USBケーブルにつけられたACコネクターを
コンセントにさせばカメラにあるLEDが点灯してカメラの映像がストリーミング
開始されている。
カメラの映像はどこでみるのかというと、先ほど登録したDropcamのアカウントに
ログインすると、カメラの映像が見えるという仕組み。
カメラの画角が130度と広いおかげで、壁際におけば室内は映像内にほぼ網羅
できる。
使ってみると、カメラ側のズームやパンなどのメカニカルな機能が
それほど必要ないことがわかる。
Dropcamのライブ映像上で見たい部分を選んでブラウザー上でズームやパンが思い通り。
HDのクリアな画像のおかげで、デジタルズームされた部分もそこそこクリアに
見る事ができる。
Dropcamにはマイクも内蔵されているので、音声の配信も可能だ。
カメラ本体のOn/Offはもちろん、タイマーの設定、マイクのOn/Offからナイトビジョンの
設定なども全てDropcamにログインすればブラウザー経由でコントロールできる。
そして何よりも感心したのが、Dropcamのログイン後に行えるクラウドでの録画サービスだ。
Dropcamが設定されて電源が入ってから、カメラの映像がクラウドに自動で録画されて
いる。 タイムバーを移動することで、好きな時間のカメラ映像を遡ってみることができる。
また、カメラの映像に動きがあった場合にはMotion Detect機能が働き、タイムバーの
上にマークがでるので、過去の映像の中で何か変化があった箇所が直ぐにわかる。
このMotion Detect はカメラの画面の範囲内で設定場所を指定することができるので
セーベイランスカメラとして使う場合には、建物の出入り口や駐車場だけを選べば
それらの範囲内でなにか動きがあった映像だけを見る事も簡単にできるし、メールなどに
Notificationを送ることも可能。
もちろんiOS/Android向けのアプリも用意されPCがなくても
同様にカメラの画像の視聴からクラウドに録画された動画のコントロールもできる。
シンプルな作りのおかげでカメラ本体の値段は$150~と手頃な値段になっている。
また、カメラの利用者はクラウドの録画サービスを月単位、年単位で購入することが
できる。 (購入から30日はクラウド録画サービスがフリー。)
クラウドに残しておく映像のサイズ(過去7日間とか30日間から選択)にもよるが
月額で$9.95, 年間で$99の購入費用となる。
これこそが、シリコンバレーが得意なビジネスモデル。 製品価格をなるだけ安く
抑えてハードウエアを普及させて、その後にはソフトによるサービスを付加し、それに
価値を見いだしてもらった顧客からサブスクリプションモデルで利益を稼ぐ。
ハードウエアにお金をかけて、いろいろな機能を加えて差別化を目指した日本の
電化製品とは対局のビジネスモデルだ。
Dropcamは大ヒットしアップロードされる動画の数は
Youtubeよりも多いとメディアでは伝えている。 そんなDropcam社だが今年の6月に
Google傘下にあるNest Labsに$555Millionで買収されている。
提供:Hiro Minami