アメリカ国内の主要都市には少なからずJapanese Restaurantsは80年代から存在していた。
これらの多くはアメリカ人向けの日本食であり、
Sushi, Tempra, Chicken Teriyakiがメニューに必ず載っていた。
オリジンは日本人経営者であり、日本人シェフだったのだが、アメリカで広がるうちに
ノンジャパニーズ経営でノンジャパニーズシェフ(とはいえ韓国人や中国人のアジア系の方)
が料理するなんちゃって日本食に成り下がってしまった。
日本人はもちろんこのような店に行く事は少なく、顧客層は本物の日本食を食べたことがない
アメリカ人だった。
ところが最近はアメリカ人の中で、真の日本食ブームが起きているのだ。日本人が好む本当の
日本食を出すレストランに真の和食を求めて行列をなす。
ここ数年で大ヒットしているひとつがラーメン。 シリコンバレーにはラーメン店が
6、7軒あるが、その中でも日本人が経営している日本人シェフのお店に行列ができる。
クオリティは非常に高く、我々日本人が食べても日本の人気店と全く遜色ない味。
その美味さにアメリカ人が最近気がついたのか、昨今の行列に並んでいるのは、日本人よりも
ノンジャパニーズの方がずっと多い。
NewYorkではさらに大きなムーブメントがあり、レストラン検索サイトのYelpをみると
マンハッタン付近で20軒以上のラーメン店がヒットする。 それらの多くが店名にRa-men
という言葉をいれており、アメリカでラーメンという料理が定着し始めていることが伺える。
そしてもう一つが寿司。 昔からあった寿司屋はアメリカ人向けにアレンジしたカリフォルニアロールや
サーモンロールなど、日本では見たことのなかった寿司を作り上げ、食文化に敏感な人が多く住む、
LA, NY, San FranciscoなどでSUSHIの地位を確率した。
とはいえ都心にある一流の寿司屋に品質で敵う訳がなく、我々も日本出張の機会があればやっぱり
日本の寿司は美味いとカウンターに通ったものだった。
ところが、今年になって本格的な寿司屋がサンフランシスコにオープンしたのだ。それも2店舗も。
ともにTraditionalな寿司を店のコンセプトに掲げ、日本で修行した一流の板前さん
(アメリカでの経験が長いシェフもいるが)が白木のカウンターに立つ。ネタも築地から仕入れて
季節を感じる一流のものが揃う。
店内もまるで都心の高級寿司屋(ちょっとしたアメリカンモダニズムも感じるが)のようだ。
日本でも寿司は特別な食べ物で、それなりの店にいけば、それなりのお金がかかるのだが
いままでなんちゃって寿司を食べていたアメリカ人にこんなクオリティの高いものを提供して
その差が判るのだろうか?
会計をするときに値段の高さにビックリしないのだろうか?などという不安は杞憂に終わった。
オープンと同時に日本での美味しい寿司経験が忘れられないアメリカ人が殺到し、数ヶ月先
まで予約が取れない状況だった。
そして、今年のサンフランシスコミシュランガイドでともにオープンして1年未満だというのに、
ミシュランスターを獲得した。
すきやばし次郎に三ツ星をつけたミシュランと同じ基準で選ばれたのだろうから、味も日本の寿司屋に
劣らないということだろう。
世界遺産になったWASHOKUの波は確実にアメリカにも広がりを見せている。
提供:Hiro Minami