Googleがここ近年に力をいれているプロジェクトのひとつに車の自動運転があるが、現地時間6月24日にNevada州で無人の車を公共の道路に走らせることを許可する州法が成立した。 この法案、Assembly Bill 511(以下AB511)は36対6の多数で州会議にて可決されたという。
英語ではDriverless carと言われる無人車だが、AB511の無人車は以下のように定義されている。
“artificial intelligence, sensors and global positioning system coordinates to drive itself without the active intervention of a human operator.”
人口知能、各種センサー、GPSを組み合わせて人間の操作などの仲介なく、自身で運転するもの(自律型無人自動車)。
Googleは昨年10月に本社のあるMountainViewから、南カリフォルニアのサンタモニカまで無人自動車を走らせる実験が成功したこと発表したが、(この際には訓練されたオペレータが常時助手席におり、緊急時にはいつでも運転を交代、また危険回避ができる体制をととのえ、事前に警察をはじめ、各機関に事前の許可をもらってのこと)その後も走行実験をつづけ、現在までにトータルで14万マイルの無人車走行実験を行ったという。
振り返ればDARPA(Defence Advanced Research Projects Agency) の最初の無人車コンテストGrand Challenge2004(California, Nevada, Arizona)にまたがるMojave砂漠に作られたコースを無人車が完走したら賞金が$1Millionという大会に大学、官民いろいろな数々のチームがチャレンジしたが、用意された150マイルのコースの完走車はゼロで、一位はカーネギメロン大チームのわずか7.36マイルであったが、完走していなかったために、賞金は持ち越された経緯があった)から6年後の昨年に無人車が一般道の走行実験に成功し、今年には法案がNevada州で成立し、開発にも法律整備も急加速中だ。
Googleでプロジェクトをリードしているのは、スタンフォード大のロボット工学教授の Sebastian Thrun氏。同氏によると、『ほとんどの交通事故は人間のエラーでおきており、車や機械のトラブルが原因となるケースは極めてまれである』という。 人口知能を使って車を自動運転化できるようになれば、事故は減少するというわけだ。 氏はもうひとつ大きなメリットがあるという。 自動制御の車が人間より精度の高い技術で運転を行えば、車幅や前後の車間を詰めることにより、高速道路のキャパシティを2倍から3倍にあげることができるという。 EUでも車の路上のキャパシティをあげるためのユニークな取り組み”Car Platoons”がある。 こちらは高速道路を走る車を電気的につないで電車のように、運転制御は先頭車が行うことにより
車の車間をなくし、高速の渋滞を避けようとするプロジェクトだ。
StreetViewもあっという間に世界中の街角が見えるようになったGoogleの実行能力を持ってすれば
Sebastian Thrun氏がいうように事故がすくなく、多くの無人自動車が高速道路にぎっしりととならび、
効率よく、人々を目的地にとどける日は近いのかもしれない。 ちなみに同氏はGrand Challenge2005ではコース中盤まで独走していたカーネギーメロン大を抜き去って優勝したStanley号を作成したStanford Racing Teamのプロジェクトリーダーであった。
by Hiro M
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