Ver.9の新機能
ストレージスナップショットとの連携強化
EMC VNX/VNXe統合
EMC VNX, VNXeのストレージスナップショットと連携した効率的なバックアップ、レプリケーションが可能になります。VMwareのスナップショットは整合性を保つのみに利用され、ストレージスナップショット内で静止点は保持されます。これにより、VMwareスナップショットの肥大化を防ぎ、仮想環境への影響をほぼ0にしたデータ保護が可能になります。ストレージスナップショットからのデータ取得のためのプロトコルはEMC VNX/VNXeがサポートする全てに対応予定です。また、バックアップの際に取得されるデータはVMware CBT機能を活用しており、変更ブロックのみであり、既存のEMC VNX/VNXeのスナップショットからのバックアップに比べ、最大20倍高速にバックアップが可能です。
さらに、そのほかのストレージと同様にEMC VNX/VNXeのストレージスナップショットからのリストアも可能です。このVeeam Explorer for Storage Snapshot機能を活用することでストレージスナップショット内のVMのリストアはもちろんのこと、ゲストのファイル/フォルダ、各種アプリケーションアイテムを個別にリストア可能です。これによりストレージスナップショットで実現した短いRPOのスナップショットから、短いRTOでのリストアが可能になります。
NetApp SnapMirror/SnapVaultからのバックアップ
Veeamではv8からNetApp のストレージスナップショットとの連携が可能になっており、Veeamから作成した確実なアプリケーションの整合性を保持した状態のストレージスナップショットをSnapMirror、SnapVaultへ連携が可能です。v9ではさらにこの連携先の2次ストレージのSnapMirror/SnapVaultからバックアップが可能になります。これにより、プライマリのストレージへの読み取り負荷すらなくした、NetAppインフラ外へのバックアップが可能になります。
ストレージスナップショットからの安全な検証
VeeamではVirtual Lab機能により、バックアップから直接VMを起動し、隔離した環境でのオンデマンドなサンドボックスを提供しています。v9ではこのサンドボックスをストレージスナップショット内のVMでも利用できます。これにより本番環境と同様のI/Oでのテストが可能になり、高速な検証、トラブルシュート、トレーニングといったことが可能になります。
より効率的な処理を実現:アーキテクチャ改善
Veeam独自の転送モード:Direct NFS
VMware環境におけるデータ保護では、多くのバックアップベンダーがVDDKというAPIを使用してバックアップを行っています。しかしこのAPIではSAN、HotAdd、Networkといった転送モードのみであり、NFSストレージに最適化された転送モードは提供されていませんでした。そこでVeeamはv9で独自のNFSクライアントによるNFSストレージから直接のデータ取得が可能な転送モードを追加します。これによりNFSストレージからのバックアップであってもハイパーバイザ層を経由せずにデータ取得が可能になり、より高速なバックアップを実現できます。
※NFS v3、NFS 4.1をサポート
ゲストOS静止用プロキシ
Veeamでは確実な整合性を保持するために、ゲストOS上に一時的なコンポーネントを自動的に展開し、ログの切り捨てやインデックス作成を行っています。しかし、この処理は単一のVeeam Backup Serverが行っており、大規模環境や低速なWAN介した処理では限界がありました。そこで、v9からはゲストOS静止用のプロキシを新たに追加可能になり、これがゲストOSに対する処理を代行することが可能になります。これによりVeeamのスケーラビリティはより向上し、低速なWAN回線を介している場合でも安定した処理が可能になります。
マウントサーバ
Windowsのファイルレベルリストア時にv8まではVeeamサーバ自身がバックアップファイル内の仮想ディスクをマウントしそこからファイルデータの抽出、オリジナルVMへの転送を行っていました。v9からはファイルリストア時のマウント先として適当なWindowsマシンを指定可能になりこれにより、拠点内で完結したデータ移動が可能になります。
スタンドアロン コンソール
Veeamを各サイトの管理者がそれぞれ操作する際にv8ではリモートデスクトップ等でVeeamインストールサーバにログインする必要がありました。これにより、各管理者がログインするとはじかれてしまうという手間がありましたが、v9からはその手間もなくなります。Veeam Backup Serverにリモートでアクセス可能なスタンドアロン コンソールにより、各管理者がそれぞれのマシンから専用のコンソールにアクセス可能です。また、このスタンドアロン コンソールをインストールしているマシンはマウントサーバとしても利用できるため、各サイトに管理者がこのコンソールを利用することでファイルレベルリストア時の処理も効率的に行えます。
保存先ストレージとの連携強化
HP StoreOnce Catalyst統合
HP StoreOnce Catalystとの統合によりバックアップの際にソース側(Veeam Proxy)にてCatalystの高度な重複排除が実施し、バックアップパフォーマンスを向上させることができます。さらに、合成フルバックアップ作成や変換処理などの際には実データの移動は行わず、メタデータのみの操作となり最大10倍高速な処理が行えます。※FC経由のCatalystサポート
登録もウィザードでCatalystを指定するだけで簡単に行えます。
EMC Data Domainの対応強化
Veeamではv8からEMC Data DomainへのバックアップをData Domain Boostを介して行うことで高速化することを可能にしました。v9ではEMC Data Domain Boost 3.0 SDKと統合されます。これによりDD OS 5.6をサポートし、ソース側での重複排除、WAN越しでの高速な暗号化、オフサイトのEMC Data Domain重複排除ストレージシステムへの安全なバックアップを実現できます。
ランダムI/Oを必要とするリカバリパフォーマンスの改善
インスタントVMリカバリやファイルレベルリカバリ、Veeam Explorers for Active Directory、SQL Server、SharePoint、Exchange、OracleといったアイテムリカバリではランダムI/Oが必要とされます。このようなリカバリを重複排除ストレージシステム上のバックアップから実施した場合、低速になりがちですが、これをv9では最適化し、改善を行っています。
より柔軟性の高い、バックアップアーカイブを実現
スケールアウト バックアップリポジトリ
v9でVeeamはバックアップをより簡単に、より効率的に保存するため、より柔軟性の高い新しいタイプのバックアップリポジトリを提供します。このスケールアウト バックアップリポジトリはVeeamによるバックアップを保存するためのソフトウェアデファインドストレージであり、複数のリポジトリを単一のプールにまとめて利用できます。これにより、バックアップサイズを考慮してリポジトリを随時追加していくような手間のかかる「細かな管理」は不要になります。
このプールには異なる種類(ローカル、DAS、NAS、重複排除ストレージアプライアンス、Windows、Linuxなど)の既存のリポジトリを登録できます。
そして、各ストレージのグループに役割を割り当てることができ、長期的なフルバックアップはデータ削減率の高い重複排除ストレージへ、毎日の増分バックアップはリストア速度が求められるため、フラッシュアレイへというように、既存ストレージへの投資を無駄にせず、各ストレージの長所を生かしてバックアップをアーカイブできます。
VMごとのバックアップファイル作成
Veeamではジョブに登録された複数のVMをまとめてバックアップのつながりを作成します。これにより高い重複排除率を実現できますが、重複排除ストレージシステムの特性に合わせた複数ストリームでの処理を行う際や、ポリシーにより、VMごとに別々のバックアップファイルを作成する必要がある場合にはジョブを大量に作成する必要がありました。しかしv9からはこのような手間のかかる設定は必要ありません。リポジトリのオプションにより保存されるバックアップファイルをVM個別に作成するよう設定可能です。この際にVeeamによる重複排除率が下がってしまうという欠点はありますが、バックアップ先が重複排除ストレージシステムであればこの欠点は補完され問題にはなりません。
アクティブGFSフルバックアップオプション
バックアップコピージョブにはGFSオプションという長期的に特定の世代をフルバックアップで残しておくという便利な機能があります。しかし、このフルバックアップ作成はターゲットのストレージ上で行われ、合成処理による読み取りと書き込みにより、Veeamとの統合が行われていない重複排除ストレージでは速度が低下してしまいます。
そのため、新たなオプションとして、ソースのバックアップからフルバックアップ作成に必要なデータを読み取り、コピー先のターゲットには書き込み処理のみを行うためのアクティブGFSフルバックアップ作成オプションが追加されます。
テープ機能の改善
テープへのアーカイブ機能に関してもより便利に使用するための改善が行われています。まず物理のライブラリ自体を一つのメディアプール専用のものとし、追加、利用することのできるグローバルメディアプール機能です。このグローバルメディアプールには複数のライブラリを登録し、各ライブラリにまたがりデータをアーカイブ可能です。さらに、1つのライブラリが使用できない場合には代わりに別のライブラリを使用するフェイルオーバー機能も備えています。
次の機能は並列でのドライブ使用です。v8でも複数のテープジョブを同時に実行することで並列にドライブを使用しテープでデータを保存できましたが、v9ではこれが自動的に行われ、より便利になります。
最後がGFSメディアプールです。バックアップコピーと同様にGFSの設定でフルバックアップをアーカイブするための設定をより簡単に行えるようになります。
アプリケーションのアイテムを簡単にリストア
Veeam Explorer for Oracle
Veeam Explorerシリーズによるアイテムリストアにv9で加わるアプリケーションはOracleです。Oracleのトランザクションログのバックアップ機能が実装され、リプレイによりトランザクションレベルで指定した状態にデータベースを戻すことが可能になります。このサポートはWindows上のOracleのみでなくLinux上のOracleにも対応します。さらにOracle自動ストレージ管理(ASM)との完全な互換も保持しています。
対応済みアプリケーションに対する機能追加
- Veeam Explorer for Active Directory
・グループポリシーオブジェクト(GPO)のリストア
・構成パーティションのオブジェクトのリストア - Veeam Explorer for Exchange
・エクスポート済みアイテムのレポート機能
・エクスポートされるサイズの推定機能 - Veeam Explorer for SharePoint
・フルサイト、サイトコレクション、アイテム権限のリストア
・SQL Serverのリモートステージング - Veeam Explorer for SQL Server
・テーブルレベルでのリストア
・SQL Serverのリモートステージング
※ 上記内容は今後のリリースに伴い変更される可能性があります。
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